サッカーの「2023 明治安田生命J1リーグ」前半戦では、ゴールデンウイークまでの12試合を終えて、ヴィッセル神戸が勝点26で暫定首位にたっています。その原動力の1人が、ここまで全試合フル出場中のDF山川哲史選手です。このたびゲスト出演したラジオ番組で、チームや個人の好調の要因を語るとともに、サポーターからの質問にも答えました。
練習拠点である神戸市西区のいぶきの森球技場で、ラジオ関西『GOGO!ヴィッセル神戸』の単独インタビューに臨んだ、山川選手。J1第9節横浜F・マリノス戦で2-3と惜敗した3日後の4月25日に収録されたなか、まずは序盤戦の感想について「チームの雰囲気として、前回の試合(横浜FM戦)に負けてしまいましたが、悲観しすぎることなく、自分たちの今の課題を見つめ直して、チームでも個人でも分析しています。たとえ負けたとしても、次につながる負け方だったり、試合のなかでのプレーの振り返りはできていますし、経験値は上がっているので、今後につながっていると思います」と、敗戦を糧に変えて前を向いていました。
その思いはゴールデンウイーク中の3試合でも表れ、第11節名古屋グランパス戦こそ土壇場の失点もあって2-2と引き分けましたが、ホームでの2試合(湘南ベルマーレ戦2-0、横浜FC戦3-0)ではクリーンシートでの勝利に大きく貢献していました。
ただし、個人のパフォーマンスについては、「うまく守れているようでも、個人的にはまだまだ。ボールを奪い切れたりゴールを守るという部分だけではなく、相手からボールを奪って攻撃につなげるところだったりというのは、まだ足りていないかなと思っていますので、そういったことも試合を重ねていくなかで自分のレベルをもっと上げていきたい」と、現状に満足せず、高みを目指す思いも述べていました。
また、今回のラジオ出演にあたって、ホームゲームに集ったヴィッセルサポーターから山川選手へのメッセージや質問も寄せられました。
●サポーター(1)「昨年までは慣れないサイドバックでの起用が多かったですが、(本来の)センターバックに戻った今年は、サイドバックの経験がいきてポジショニングや球足の出方がすごくよくなり、もともと空中戦が強いのもあった安心して観ていられます。昨年からの積み上げなのか、それとも何かきっかけがあったのか。今年、こんなにもよくなった理由を教えてほしいです」
この質問に、「昨年と今年でポジションが違うことが大きい」と、山川選手。プロ入り後に挑戦した右サイドバックでは「いろいろチャレンジしながら、悩みながらやっていました」と明かしつつ、「小学校5年生くらいからずっとやっていたセンターバックのポジションにまたついていますし、(サイドバックとの)経験値の違いもあり、サイドバックのときよりもセンターバックをやるときのほうが自信を持ってやれています。それが今のプレーにつながっているのかなと思います」と、自信と経験を理由にあげていました。
クリムゾンレッドの23番は、今シーズンの試合中、相手との激しいコンタクトプレーがあった際にも、ひるまず、逆に強気な姿勢が目立ちます。ただし、本人いわく、「自分のなかでは試合中に感情を出しすぎると、それこそ熱くなって空回りしてしまうことが結構多かった」そう。そのため、対人の熱いバトルでは心は冷静に保つことを心掛けているようでした。
一方、よくスタジアムでチームを応援するという女性サポーターからは、ポジションについて、次のような質問がありました。
●サポーター(2)「センターバックをするときとサイドバックをするとき、違いとして意識していることを聞いてみたいです。(昨年と今年で)やることが違えば攻撃の仕方も変わってくると思いますが、いまのヴィッセルはポジションも流動的に変わるし、一瞬サイドバックになる瞬間も絶対にあると思うので、何か切り替えているのか、気になります」
玄人顔負けの質問に「すごく見られていますね!」と驚愕していた山川選手。「(違いの)項目がいっぱいあるので(限られた時間で)話すのは難しいです……」と言いつつ、「いま、センターバックを務めているなか、ここ2~3年サイドバックをやっていたのがよかったと、強く思うことがたくさんあります」とコメント。具体的には「ビルドアップのときに首を振る回数だったり、見えるものの質が変わったのは実感しています。守備のときにも、サイドバックとしては、センターバックの選手がここにいてくれたら助かるというところも、やってわかったので、今でも意識しています」と、視野の広がりやポジショニングなどに成長を実感。「サイドバックはすごく悩みながらやっていましたが、それが今の自分にすごくプラスになっている」と述べていました。