22年余の警察官僚経験で培った豊富な人脈を持つ危機管理のスペシャリストが、身近なSNSのリスク対応など、危機管理の重要性についてラジオ番組で語った。
ラジオ番組『セケンテー/ぼくらは囚われない』(ラジオ関西)の2023年4月1日放送回に出演したのは、株式会社Y's LAB(ワイズラボ)で代表取締役を務める屋久哲夫さん。東京大学法学部を卒業後、警察庁に入庁。阪神・淡路大震災や明石市民夏まつり花火大会雑踏事故、秋葉原無差別殺傷事件など多くの事件・事故の対応にあたった経験を持つ。警視庁広報課長としてマスコミ対応の経験も豊富。警察庁退職後に入社した映像制作会社ではプロデューサーを務めるなど、異色の経歴の持ち主だ。
株式会社Y's LABでは、弁護士、元労働基準監督官、マスコミ関係者などさまざまな専門家と連携し企業の危機管理サポートを行う。コンサルティングのほか、ネット事業(風評被害対策・情報漏洩対策など)、警護(施設警備・身辺警護など)、調査(バックグラウンド調査など)と幅広いサービスを展開している。
「コンサルから始めて、その後実働部隊を持った会社はほとんどないかもしれません」と話す屋久さんに対し、「ただのSPだったらその場限りだけど、ちゃんとコンサルをするんですもんね」と感心した様子をみせたパーソナリティーのCEOセオ(連続起業家兼アーティスト)。同社の警護員は比較的若く、ほとんどが即応予備自衛官、つまり現役の自衛官だ。屋久さんいわく、格闘技経験者も多く見た目も“いかつい”。そんな話を聞いたセオは「もしかしたらいろいろとお願いすることもあるかも……」と笑い混じりにコメントした。
「Twitterなどで明らかな脅迫とかもくるんです。ああいう人ってどう対処したらいいですか?」と相談したセオ。これに対し、屋久さんは「あまりにもひどい場合は、たとえめんどくさくても警察に相談するのがいいと思います。昔に比べたら詳しい捜査員も増えていますし、開示請求に対してプロバイダはなるべく情報開示するようになってきていると思うので」とアドバイス。そのうえで「被害者が泣き寝入りするのは絶対におかしい」と語気を強めた。
さらに「反論しちゃうと炎上するので……。証拠化というか、ある程度資料化したらあとは反論せず」「言い返すとさらに言葉尻を捉えてくる。言いたい人というのはどこからでも拾ってきて『結局なんだったっけこれ』って話になるので、反論はしちゃいけない時代なのかなと思います」と付け加えた。
近年、社会問題に発展することも少なくない“炎上系”については「そういう言葉でごまかした迷惑行為がバズっている」と苦言を呈した屋久さん。パーソナリティの2人も「悪いことをしても目立ったら勝ち、という発想が(よくない)」と同意し、教育上子どもたちに悪影響を及ぼす可能性もあると言及した。
「正当な職務行為を全うしようとしている人に対してスマホを向けるような行為って、やっぱりすごい嫌で……」そう話す屋久さんも実際に経験したことがあるのだとか。
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『セケンテー/ぼくらは囚われない』
放送日時:毎週土曜日 20:00~
放送局:ラジオ関西(AM 558kHz / FM 91.1MHz)
連続起業家兼アーティストのCEOセオとフリーアナウンサー田中大貴がパーソナリティを務める。