5月29日、気象庁は九州北部から東海地方にかけて「梅雨入りしたとみられる」と発表した。5月の梅雨入りは、東海・近畿地方では10年ぶりのことで、近畿では去年(6月14日)より2週間以上早く、平年(6月6日)と比べても8日早い梅雨入りとなった。
例年、梅雨入りの時期に設定された雑節「入梅」(2023年は6月11日)を前に、全国的に青梅の摘み取りが始まり、梅酒づくりのシーズンが到来した。
そして6月6日は「梅の日」。室町時代の1545(天文14)年、京都・賀茂神社の例祭(現在の葵祭)で、時の後奈良天皇が梅を奉納し、五穀豊穣を祈る神事を執り行ったところ、雷鳴がとどろき、雨が降り注いだという。
チョーヤ梅酒株式会社(本社・大阪府羽曳野市)では、近畿で梅雨入りした5月29日、和歌山県紀州産の南高梅(なんこううめ)の漬け込み作業が始まった。
梅の収穫高が日本一(※)の和歌山県では、年明けから天候に恵まれ、梅の花の満開は前年よりも早かったものの平年並みだった。蜜蜂による受粉が良好に進み、順調に着果したという。雨量にも恵まれて梅の実も順調に生育し、梅の作柄は平年以上が見込まれている。
1959(昭和34)年、梅酒の製造・販売を始めたチョーヤでは、この時期に梅の実の肥大状況を見ながら漬け込みを始め、「入梅」前後をピークに約1か月続く。
国内の梅は多品種だが、チョーヤでは「梅酒」に適した紀州産南高梅(和歌山県)を中心に使用。特に南高梅の色合いは、熟するにつれて青から黄に変わり、果肉が厚くなり、酸味の中に甘みの比率が高くなるのが特長。
手摘みされた大量の梅は洗浄後、最大容量10万リットルの熟成タンクに漬け込まれる。光、熱、空気など外部からの影響を極力受けないように設計され、梅の産地や品種、熟度ごとに管理し、1年以上じっくりと熟成される。