フランス政府は26日、大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日 184日間)の公式参加契約を締結した。
パビリオンのコンセプトは「アムール(フランス語で「愛」)」。
大阪・関西万博には153か国・地域、8国際機関が参加を表明、このうちフランスは2022年4月、EU加盟各国に先んじて参加表明、正式契約調印は23番目となった。
日本は、1867(慶応3)年のパリ国際博覧会に初めて参加。この時、江戸幕府や薩摩・佐賀両藩が出品した日本の工芸品や美術品が注目され、「ジャポニズム(19世紀後半に海外の西洋諸国で流行した日本趣味・ヨーロッパの芸術家に影響を及ぼした)」として紹介された。
ドバイ万博(2021年10月1日~2022年3月31日)でのフランスパビリオンは、建物全体に太陽光パネルを施し、会場全体を一望できるレセプションルームが印象的だった。これまでにも数多くの国際博覧会に参加した実績を持つ。
26日、日本国際博覧会協会(大阪市住之江区)での調印式に訪れたフランス政府代表のジャック・メール氏は、大阪・関西万博でのプランスパビリオンが、会場のエントランス近くの「いのちに力を与える」ゾーンに位置し、日本とフランスの友好のシンボルとしてふさわしいと歓迎した。
一方、「世界的な経済状況の不安定さ、アフター・コロナという困難な状況は、リスクを伴うかも知れないが、現実を冷静に見つめてチャンスととらえ、日本とともに作り上げていくことが成功の鍵」と話した。
そして、コンセプトについて「アムール(フランス語で「愛」)であふれるパビリオンにしたい。日本とフランスで愛の形は異なるかも知れないが、家族愛や(相手への)信頼、尊重というスタイル」と表現した。
1889年に開催された第4回パリ万国博覧会で、シンボルとなったエッフェル塔は、当初閉幕後に取り壊される予定だったが、近代的なデザインで人気を博した(電波塔としての役割もあった)ことから、現在も多くの人々を惹きつけるパリのシンボルとなっている。メール氏は「大阪・関西万博でもエントランス近くにパビリオンが建つ。エッフェル塔のようなシンボルをお見せできる」と抱負を語った。
伝統を重んじつつ、革新的な部分も打ち出したいと話すメール氏だが、「人間性の回復」も大切だと強調した。技術革新や新たなものへの挑戦だけでなく、あまりにも行き過ぎた技術革新にも疑問を呈したいとした。具体的には「人間同士のコミュニケーションの欠如や、情報依存に陥ることは避けなければならない。気候変動への対応や生物多様性の確保も重要だ。テクノロジーは、人間に役に立つものでなければならない」と訴えた。
このほか農業分野では、AIロボット技術を活用して省力化や生産性向上を目的とした新しい形を示し、農薬の削減や土のリサイクルも重要だとも話した。
パビリオンでは「アムール(愛)」をテーマに、約半年間の常設展示と、毎月ごとの催し、2週間ごとのライヴパフォーマンスで表現していく。そして、“美食の都・大阪”にちなみ、ビストロ、ルーフトップバー、パティスリー、ブティックをリビングヘリテージ(生きる文化財・文化遺産)を販売するスペースも設ける。
万博に出展してパビリオンを設けるのは、多額の費用がかかるが、実際に世界から訪れる人数は限られる。そこで、誰もが参加できるバーチャルリアリティー(仮想現実)を駆使して、リアルに体験できない人々にも発信するという。