是枝監督最新作『怪物』 シングルマザー・教師・小5男子 3つの視点で描かれる人間ドラマ | ラジトピ ラジオ関西トピックス

是枝監督最新作『怪物』 シングルマザー・教師・小5男子 3つの視点で描かれる人間ドラマ

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 カンヌ国際映画祭で脚本賞を獲得。是枝裕和監督の最新作は脚本を坂元裕二が、音楽は坂本龍一が手がけました。映画『怪物』が6月2日(金)、全国ロードショー公開されます。

☆☆☆☆

 ある地方の町の駅前で、夜、雑居ビルが火事になる場面から物語が始まります。シングルマザーの麦野早織(安藤サクラ)は、自宅のベランダから火事の様子を見ていました。小学5年の息子・湊が早織に尋ねます。

「豚の脳を移植した人間は、人間?豚?」

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 湊は、担任の保利先生(永山瑛太)がそういう研究があると話したと言います。早織の夫が事故で亡くなって以来、湊と二人暮らしです。最近の湊の様子が気になっています。

 早織は洗面所に髪の毛の束が散らばっているのを見つけ、驚きます。湊は、校則違反を指摘されたと言い、自分で髪を切っていました。玄関の湊のスニーカーは、なぜか片方しかありませんでした。さらに、毎日学校へ持っていく水筒からは泥水が出てきました。

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 ある日、湊が夜になっても帰宅しません。早織は湊を見かけたという学校の友だちの情報を得て、自分で車を運転して捜し回ります。鉄道の廃線跡へ通じる道に湊の自転車があるのを見つけました。「かいぶつ、だ〜……」という湊の声が聞こえました。暗いトンネルの中に湊はいました。

 その帰り道、車の助手席に乗った湊が走行中に突然ドアを開けて外へ飛び降ります。幸いなことに湊は軽いけがで済みました。念のため、脳のCT検査を受けましたが異常ありませんでした。ところが湊は「湊の脳は豚の脳と入れ替ってるんだよ」と保利先生に言われたと涙ぐんでいます。

 翌日、早織は湊の通う小学校へ行き校長(田中裕子)に直訴します。

「耳から血が出るくらい引っ張られたり先生痛いですってお願いしたら『お前の脳は豚の脳なんだよ、痛い目に合わないと分からないだろう』と保利先生に言われたんです」

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