調査報告書では、最高裁の対応を「誠に不適切」と指摘した。そして、最高裁が1991年、保存記録を膨大化させないよう全国の裁判所に指示したことが、保存への消極的な姿勢を強め、その後も適正化を図る指導をしたことはうかがえないと指摘した。
また、最高裁は適切な事件記録の保存に向けて、各裁判所職員が「歴史的、社会的な意義を有する国民共有の財産」と認識することが重要だとした。そのうえで今後、内規にこうした趣旨の理念規定を新たに設け、”民事、家事、少年”という事件種別を問わず、記録保存先を国立公文書館へ移管する意向を示した。
最後に井関弁護士は「2000年の少年法改正につながったのがこの事件。そして、はじめは”けんもほろろ”だった最高裁が今回、記録保存にかじを切った。いずれも、(亡くなった)淳君の力だと思う」と述べた。
そして守さんは、「大切なのは、この気持ち(記録保存のあり方を考える)を持ち続けること。それが遂行されているかをチェックするのは、マスメディアの役目だと思う。そして事件記録は、デジタル化するなど廃棄することなく被害者、遺族、有識者が事件の検証に活用できるものであってほしい」と力を込めた。