和歌山県の白浜町といえば「アドベンチャーワールド」や「白浜温泉」など自然を活かした観光スポットが魅力ですよね。
そんな白浜町にある「本覚寺」(白浜町瀬戸)をご存知でしょうか? 由緒ある寺であり、「貝寺」という親しみやすい別名を持っているのです。
本覚寺が建てられたのは1633年(寛永10年)とされていますが、はっきりとは分かっていません(1467~69年にできたという説も)。2代目藩主の徳川光貞やのちの将軍となる徳川吉宗らが参詣するなど、現在の和歌山県と三重県南部をおさめていた「紀州藩」との結びつきの強い寺だったといわれています。
「天明元年(1781年)には、8代藩主・重倫の母である清信院のおかげで浄土宗の総本山・知恩院直轄の寺に昇格し、紀州徳川家をあらわす『葵紋付』の幕提灯や仏具なども寄進されました」(本覚寺)
その恩もあり、住職が年に2回和歌山にある「吹上御殿」に参上し、珍しい貝を献上するのが慣習となりました。さらに近隣の漁師たちから寄進される多種多様な貝をコレクションするうち、周囲から「貝寺」と呼ばれるように。
現在は、約1000種・3万点もの貝を先代の住職が整備した「貝の展示室」に展示し、参拝者は「ミヤコドリガイ」や「カワアイガイ」など、さまざまな色や形の貝を眺めることができます。なかには、かなりレアな貝も展示されているとか。
「本覚寺の名がついた『ホンカクジヒガイ』という貝は、昭和4年(1929年)に日本貝類学会の元会長・黒田徳米氏によって発見されました。雄・雌の2体がそろっている点で希少価値の高い貝だとされています」(本覚寺)