大阪教育大学附属・池田小学校(大阪府池田市)で児童8人が死亡、15人が重軽傷を負った事件から22年となった8日、「学校安全の日」として追悼式典が営まれた。池田小学校では事件を教訓に2009年から「安全科」という授業を設け、命を守る教育を続けている。
一昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、児童の参加を各学年代表にとどめるなど大幅に規模を縮小、「安全科」の授業の公開は見送られていたが、一昨年から再開している。
今年も6年生3学級の授業で、「“祈りと誓いの集い”に参加する意味」、「命の大切さ」を考え、このうち1学級の様子が報道陣にも公開された。
池田小学校では、事件を受け校地への出入口を1か所に限定し、事件のあった南校舎は改築して(改築後は東館)、事件を忘れないためのスペースと特別教室に、北校舎は取り壊され、普通教室棟(改築後は西館)を増築する。比較的新しい体育館は、事件とのかかわりの中で、道路に対する死角を解消するために外壁を可視化した。
授業では児童が積極的に挙手をして発言した。防犯ブザーの設置、教室から外、外から教室への見通しの良さ、入口が広い(全開できる扉)、先生コーナー(職員室とは別に廊下に設けられたスペース)など校内各所での見通しの良さを改めて確認した。
児童らは、事件から1年後(2002年)と今年(2023年)のこの日、“祈りと誓いの集い”の様子を比べた。池田小学校では、事件で心に深い傷を負った児童に配慮して、当時の制服を廃止し、私服を着用した期間を経て現在の制服になったことなどを学んだ。
学校の記録によると、当時(2002年)は欠席した児童が45人(同級生が犠牲になった2~3年生)で、学校ではなく、大阪府豊中市内の公共施設で営まれた。このことについて、児童らは事件を思い出し、現実を受け入れられない状況を知ると同時に、出席した子どもたちの「友達を思い、前向きに現実に真剣に向き合っている」という感想も聞かれた。
そして、「当時と今の児童の気持ちの違いについて、事件を直接経験していることと、経験していないという違いはある。すべてが良い経験とは限らないが、経験したことによって『伝える』ことと、『安全な学校、安全な社会に』という決意を新たにできる」と締めくくった。