シェアハウスには、茂道おじさんと榊さんのほかに女装して占いをする占い師・泉谷、海外を放浪する大学教授・成瀬も生活していました。直達が加わって、シェアハウスでの5人の共同生活が始まります。榊さんはOLで26歳。直達のちょうど10歳年上です。いつも淡々としていて、ほとんど笑顔を見せません。直達は榊さんのことが気になって、やがて想いを抱き始めます。
ところが榊さんは、恋愛しないと心に決めていることが分かります……。
原作は、田島列島のコミックです。2018年から2020 年まで別冊少年マガジンで連載され、「ダ・ヴィンチ プラチナ本 OF THE YEAR 2020」「このマンガがすごい!2021」「第24回手塚治虫文化賞新生賞」を受賞しています。
過去のある出来事から「恋愛はしない」と決めている主人公・榊さんを演じるのは、広瀬すず。榊さんに淡い想いを寄せる直達役は『キングダム』で主人公・信の幼少時代を演じた大西利空です。
直達の叔父さん・茂道を演じるのが高良健吾、直達に片思いする同級生・楓が當真あみ、女装の占い師で楓の兄でもある泉谷が戸塚純貴、世界中を旅する大学教授の成瀬が生瀬勝久です。
監督は前田哲が務めました。直達が榊さんの気持ちをくんで涙を流しながら語るシーンがあるのですが、この場面で大西が苦労し2日間かけて撮影したということです。1日目は感情をあふれさせることができませんでした。大西は赤ちゃんの頃から子役として活動していて、芝居で感情を上手く出せなかったことがなかったそうです。できると思っていた芝居ができなかった自分自身に対する不甲斐なさと、榊さんに対する直達の感情がリンクして2日目に本気の涙を流すことができました。「どういう方法であろうとも、あの奇跡の瞬間を創り出せたのは、大西くんの勝利だと思う」と前田監督は称えています。本気の涙を見せた大西に、周りの撮影スタッフもみんな感極まって泣いていたそうです。