環境問題やリサイクルの重要性が叫ばれる昨今、兵庫県尼崎市の企業が立ち上げた「廃棄物コンシェルジュ」「SDGsコンシェルジュ」に注目が集まっている。この取り組みを展開する『浜田化学株式会社』は自社の廃油再生処理事業にヒントを見出し、社会貢献への意気込みを見せる。取締役営業本部長・桑村安浩さんに詳しい話を聞いた。
「廃棄物コンシェルジュ」とは、スーパーや飲食店において、あらゆる種類の廃棄物を出す際に各専門業者を紹介する“ワンストップサービス”。一般家庭の場合は、決められた場所にごみを出しておけば行政サービスとして業者が取りに来てくれる。いっぽうスーパーや店の場合は、廃棄物処理法にのっとり排出者自らが業者を選定し契約内容・値段交渉を行わなければ、ごみを出すことすらできない。この部分を同社が相談窓口としてサポートしている。
「開業・新店オープンにあたっては設備会社や仕入れ先など、多くの取引先と話をしなければならない。準備だけでも相当忙しい……ということを聞いています。まだ出ぬごみについて考えるところまで手が回らないというオーナー様の悩みに応えたく『廃棄物コンシェルジュ』は生まれました」(桑村さん)
割れた茶碗・ガラス屑・壊れた鍋や廃食用油などは産業廃棄物に該当し特殊な処理が必要なため、同社のノウハウをいかし各種専門業者との橋渡しや相談窓口として機能しているそうだ。
また、産業廃棄物の場合は不法投棄を防止するためマニフェスト発行も行わなければならない。廃食用油の場合、回収する際に「排出者・回収者・処理業者」が分かる伝票やクラウドで管理されているという。
同社が廃棄物処理の相談を受けている中で『SDGs関連』についても相談されるようになり「SDGsコンシェルジュ」が誕生するきっかけとなった。
「SDGsコンシェルジュ」とは、各企業から出た廃食用油について再生処理・リサイクル製品化の提案をする窓口である。2015年9月、150カ国を超える世界のリーダーが参加して開かれた「国連持続可能な開発サミット」で決められた『17の目標』にのっとったサービスで、同社に廃食用油処理を依頼することは次の2つの目標に当てはまるという。
【目標7:エネルギーをみんなに。そしてクリーンに】廃食用油はリサイクル処理を行う事で、バイオディーゼル燃料や航空燃料など再生エネルギーとして活用できる。
【目的12:つくる責任、つかう責任】回収した廃食用油を加工して石鹸を作り、ハンドソープにして使用することでリサイクルループを実現。ハンドソープは店舗で使用されたりPB製品として一般販売もされている。