神木隆之介主演 映画『大名倒産』が現代日本に投げかけるもの | ラジトピ ラジオ関西トピックス

神木隆之介主演 映画『大名倒産』が現代日本に投げかけるもの

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 江戸時代、現代の価値にして100億円の借金を背負うことになった若い殿様を描く痛快コメディ。神木隆之介が主演する映画『大名倒産』が全国公開中です。

☆☆☆☆

 庶民として暮らしていた主人公の小四郎。急に大名として指名され、城での生活を始めたとたん藩が莫大な借金を抱えていることが分かります。
  
 借金を背負わされる主人公・松平小四郎を演じるのは神木隆之介です。前田哲監督が浅田次郎の時代小説を原作として映画化に取り組んだもので、現代の企業や政治の問題に通じる作品としてユーモアと風刺を込めています。

「大名はぜいたくな暮らしをしていたのだろう」と想像しがちですが、史実においては小四郎のような貧乏大名が多かったそうです。藩の出費に家臣たちの給料をはじめとする運営費、役職や名誉のための贈答品や返礼品、幕府からの命令で藩が行う道路工事や河川工事の費用など、実は慢性的に出費がかさんでいました。

 1年おきに江戸と自分の藩を往復する「参勤交代」などは、交通費・人件費が莫大な額となり、幕府にとっては大名の経済力を削いで反抗勢力を絶つ“体(てい)のいい手段”となっていました。

 江戸時代は「リサイクル」「リユース」「リペア」が日常的に行われる循環型社会だったそう。

 たとえば肥溜めの排泄物を残さず集めて農作物の肥料とすることで作物は育ち、江戸は衛生的な都市として伝染病のまん延を防ぐことにつながっていたのだとか。割れた茶碗を接着して修復する焼継屋(やきつぎや)に傘や提灯の張り替え屋、古い包丁や鍋などの金属を回収する古鉄買いといった、現代の私たちが目指している“SDGsの専門家”たちがいました。庶民の幸せを願い家臣たちとともに愚直に取り組みを進め強くなっていく小四郎の姿は、今の社会に生きる私たちにさまざまな課題を投げかけます。

 庶民として暮らしていた頃に自分を育てた父親を小四郎が久しぶりに訪ねると、鮭を獲る仕事は効率が悪いからと指摘された父が土木作業をさせられているシーンがあります。これは現代の公共工事を風刺するメタファーとなっています。このほか東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件や森友問題を思い起こさせる場面も見られ、現代政治の問題点を指摘しています。映画『大名倒産』は、いま公開中です。(SJ)

◇映画『大名倒産』
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。

キャスト:
神木隆之介 杉咲花 松山ケンイチ
小日向文世 / 小手伸也 桜田通 / 宮﨑あおい
キムラ緑子 梶原善 / 勝村政信 石橋蓮司
髙田延彦 藤間爽子 カトウシンスケ 秋谷郁甫 ヒコロヒー
浅野忠信 / 佐藤浩市

原作:浅田次郎「大名倒産」(文春文庫刊)             
監督:前田哲
脚本:丑尾健太郎 稲葉一広
音楽:大友良英
主題歌:GReeeeN「WONDERFUL」(ユニバーサル ミュージック)

配給:松竹
(C) 2023映画『大名倒産』製作委員会

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