「人」「風景・自然」「静物・花鳥画」。この3つをテーマに、新たにコレクションへ加わったフランスや日本の近代・現代作家の作品を中心に紹介する「新収蔵品を核に 東西作家のコンチェルト」展が、BBプラザ美術館(神戸市灘区)で開催されている。2023年7月17日(月・祝)まで。
2009年に開館したBBプラザ美術館は、現在、フランスや日本の近・現代作家をはじめ1900点を超える作品を所蔵している。今回は、タイトルの通り、「新しくコレクションに加わり、初公開となる」作品を中心に60点を紹介するほか、関連資料も展示する。
注目は佐伯祐三の「レ・ジュ・ド・ノエル」。佐伯のこのタイトルの作品は何点かあるが、同館が所蔵するのは他に比べて小さく、「日本のキャンバスのサイズ」だという。このため「佐伯は日本に戻った際に、渡仏の資金を得るため、日本で描いたのではないか」と、同館の坂上義太郎顧問は話す。そしてこの作品が収められていた木箱も展示する。木箱には「静物」が描かれており、「佐伯の妻・米子が描いているのではないか。まだ調査中だが、このようなことはとても珍しい」という。
佐伯の作品と並べられているのは、モーリス・ド・ヴラマンクとモーリス・ユトリロの作品。佐伯は1924年に渡仏し、ヴラマンクの元を訪ねた。その際「もっと個性を出せ」と評されたという。また佐伯はユトリロの作品に感銘を受け、パリの街の絵を描くようになった。「3人の作品を並べることによって、それぞれの個性や共通点を感じてもらえれば」と坂上氏は話す。
それぞれの作品からは、作家の思いや個性があふれ出ている。BBプラザ美術館では「作家たちが奏でる心象を1音ととらえると、展示室にある作品たちがコンチェルト(協奏曲・演奏会)を奏でているようだ。その響きを楽しんでほしい」としている。