さらに、2022年10月29日,韓国・ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)で起きた雑踏事故(158人死亡)が起き、国内外を問わず、歩道橋事故と同様に「事件」としてとらえてもらうために、音声訳を字幕で表示し、英語や韓国語など多くの外国語に自動翻訳できるようにした。
関係者によると、書籍を読むことは事実を知る手段のひとつだが、高齢で文字が読みづらいという声もあったという。さらに、先天性の視覚障がいを持つ人々は、色や形というイメージをとらえにくいため、直接耳に訴えることが、遺族の思いが伝わりやすいのではないかとの思いも、今回の音声訳を作成するきっかけとなった。
遺族のひとりは、「ひとりの語り部の感情ではなく、遺族や寄り添った弁護士らが執筆した文字という方の“想(おもい)”を聞き手の感情で受け止めることができる」と話す。そして、「ボランテイアサークルによる、約17時間45分にわたる音声訳には本当に頭が下がる」と敬意を表した。
《明石歩道橋事故》2001年7月21日、午後8時45分~50分ごろに発生した。兵庫県明石市・大蔵海岸で開かれた「市民夏まつり・花火大会」の会場とJR朝霧駅とを結ぶ歩道橋に集中した見物客が転倒、「群集雪崩(ぐんしゅうなだれ)」という現象が起き、11人が犠牲となった。
《参考》書籍「明石歩道橋事故 再発防止を願って」内容
1章 明石歩道橋事故とは何か あの日 歩道橋に向かった人達/事故の状況とメカニズム/遺族の「想」(おもい)―遺族たちの手記
2章 事故後の遺族たち 会の結成と活動/検察審査会への申し立て―国民のための刑事司法/強制起訴事件で検察官役を務める指定弁護士の実務/私にとっての歩道橋事故、そして現在、未来
3章 事故から20年、そして21年 遺族の投稿/弁護士からの寄稿/支援者からの寄稿
※書籍にはこのほか、年表や刑事・民事裁判の経緯を記した資料も豊富に盛り込まれている。
想(書籍「明石歩道橋事故 再発防止を願って」の音声訳)[YouTubeチャンネル]