兵庫県赤穂市と菓子卸・小売りの株式会社吉寿屋が、7月4日、「お菓子を生かした子育てに関する連携協定」を締結した。
吉寿屋は、菓子卸・流通商社として1964(昭和39)年に大阪市北区で創業し、日本初の「お菓子のフランチャイズ店舗」を考案。現在は大阪など関西2府3県を中心に「お菓子のデパートよしや」を展開している。
今回の協定は、今年4月、吉寿屋が赤穂市に新コンセプト型小売店舗(播州赤穂店)を開店させたことがきっかけになった。同店は、吉寿屋の直営店舗の中でも最西端に位置するという。
同日、赤穂市役所で行われた協定の締結締結式では、同市でこども食堂を運営する3団体を代表して、「赤穂こども食堂」を運営する赤穂市地域活動連絡協議会の今井孝子さんに、吉寿屋の神吉一寿社長が15種類(小売価格約6万円分)の菓子を手渡した。
吉寿屋の神吉社長は「今後もこの協定があるからだけでなく、子どもたちの幸せを願って、子どもの居場所を作るために活動している団体や(子育て支援イベント等市役所経由で)申し出のあるところには無償で提供していきたい。子どものたちがおいしくて安全なものを口にできるよう賞味期限切れが近いものでなく新しいものを提供する」と述べた。
◆神吉社長「お店が地域のコミュニティーの場になれば」
協定締結式後に、神吉社長が大阪府摂津市にある吉寿屋の本社で取材に応じた。
神吉社長は、「子どものころ、街のどこかには必ず駄菓子屋さんがあり、店番のおばあちゃんがいた。学校帰りに子どもたちは競うように小遣いを握りしめながら、その日あったことやともだちのことを、おばあちゃんに聞いてもらってアドバイスを受けたり、たまに叱られたりしながら、近隣に住む同世代の友だちや兄弟姉妹、また年長者とのコミュニケーションを学べたものである」と、菓子が地域に与える影響を力説。
「このたび開店した店舗(播州赤穂店)は、そのおばあちゃんにはなれないが、ただお菓子を販売するだけでなく地域のコミュニティーの場になればいい。そこで育った子どもたちがいずれ大きくなり、巣立ち、また地域に戻って来て素晴らしい働きをしてくれるといいなと思っている」と自らの願いを語っていた。
神吉社長は7月15日、赤穂市と同じく提携を締結している奈良県天理市にある「やまのべ多世代ふれあい食堂」運営団体から「子どもたちにお菓子を配布したい」と連絡を受けて、子どもたちにお菓子を手渡しに向かったそう。そこでは「ありがとうございます!」「このお菓子好き!」など、子どもたちが元気にお礼をいう姿を見て、周りの大人たちも顔を綻ばせていたという。