【橋本】 なるほど……でもこれは「ホテル」に比べると、まだまだ表現がオブラートに包まれていてきれいですよね。切ない環境の中で生まれるラブソングとして、多くの人の心を打つ要素があるのかなと思いました。
【中将】 お次に紹介するのは金井克子さんで「他人の関係」(1973)。2014年の不倫ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ)で使われたカバーバージョン(一青窈「他人の関係 feat. SOIL&"PIMP"SESSION」)も話題になりました。最後の「またも 燃えるの」ってフレーズが思わせぶりでいいですね(笑)。
【橋本】 ちょっと生々しすぎます(笑)。ちなみに「昼顔」は私も観てましたが、斎藤工さんみたいな魅力的な人が現れたら誰でも困っちゃいますね!
【中将】 個人的にはまったく燃えないドラマだったんですが、世の奥様たちはなんでああいうのに興奮しちゃうんですかね? タレントが実際に不倫していたら叩くのに、不倫ドラマは大好きって……。
【橋本】 たしかにタレントの不倫への風当たりは厳しすぎますよね。冒頭で触れた広末さんの問題でも報道や旦那さんの記者会見がありましたが、当事者だけの問題なんだから騒がずにほっといたってくれよと思っちゃいました。
【中将】 あれだけプライベートなことを暴露されたら広末さんの心のダメージもすごいと思うんだけど、みんな不倫になるとそういうことしても許されると思っているのが問題ですよね。僕なら死にたくなりますけど。
タレントの不倫といえば、僕が尊敬するジュリーこと沢田研二さんも1980年代に不倫問題で相当バッシングされました。そんな沢田さんが前の奥さんと離婚された1987年1月7日に『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ)で披露した「やさしく愛して」(1986)は究極の不倫ソングだと思っています。
【橋本】 別れる奥様に向けた歌なんでしょうか……フルで聴くとめちゃくちゃ伝わりますね……。
【中将】 一応、BOROさんが書いた曲ではあるのですが、「傷ついた女のかたを だきしめることも出来なかった」とか「信じてくれるでしょうか 君のくれた愛の種が 空にそびえる 大樹に育ったことを」とか、沢田さんを代弁してるかのようでめちゃくちゃ深いですよね。沢田さんはこの曲を離婚の前日に生放送で歌っているんですが、それがまた感極まった感じの名歌唱で……。
【橋本】 奥様の立場に立つと「ズルい!」と思っちゃうんですが、沢田さんのこの歌にはたしかに不思議な感動がありますね……。
(※ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』2023年7月21日放送回より)