山陽電車板宿駅から徒歩3分。ボリュームたっぷり、だしと麺にこだわり抜いたうどんを味わえるのが「うどん処 和心鶴々(なごみつるつる)」だ。店内はグリーンに彩られ、落ち着いた和モダンな雰囲気。カフェのようにゆったりとくつろぐことができる空間となっている。
実は、店主の重村覚三さんは70年以上続く神戸の老舗茶屋「山庄宇治園」の代表取締役社長でもある。父から受け継いだ店を大切に守りながらも、定年を迎える65歳を目前に今後の人生を考えた。
「暇なのが苦手な性分で、まだまだ元気に働きたい。ならば好きなことをやらせてもらおう」という思いのもと、大好きなうどんの店を作ろうと決意。2015年11月に同店をオープンした。
味の決め手となるだし作りは、毎朝5時から店主自身が手がけている。利尻昆布、いりこに3種のかつお節を加え、じっくりと加熱していく。花かつおをたっぷり加えて香りを引きだしたら再び時間をかけて熟成させ、最後に“かえし”を加えたら完成だ。
この味と香りにたどり着くまでに何度も試作を繰り返したそうで、重村さんは「50年以上お茶屋をやってきましたから、“利き茶”で鍛えた舌が大変役に立ちました」と語った。
長年地元に愛されてきた茶屋として徹底してきた、「常に客の情報・要望にこたえ続ける」という姿勢も活かされている。
「麺には強いコシが欠かせない」という固定概念を取りはらい、常連客からの声を踏まえたやや細めでやわらかく食べやすい麺へと改良を重ねた。
メニューの数も、リクエストにこたえていくうちに次第に増えていった。ボリューム満点で人気ナンバーワンの「えびカレーうどん」やナンバーツーの「天盛りうどん」をはじめとした定番商品はもちろん、旬の食材をふんだんに使用した「季節限定うどん」も好評だという。
さらに、午後1時半以降は「山庄宇治園」自慢の煎茶や抹茶と和菓子をセットにしたカフェメニューも提供しており、心地よい空間で香り高いお茶が楽しめる。