多くのプロアスリートを支える公認スポーツ栄養士がラジオ番組にゲスト出演し、栄養面でスポーツ選手を支える様子や今後への思いなどを明かした。
公認スポーツ栄養士として活動する金剛地舞妃(こんごうじ・まいき)さん。高校時代、野球部のマネージャーをしていた頃、選手たちの練習を間近で見て「その情熱に、涙が出そうになるくらい心から感動していた」ことを契機に、「感動を生み出す人たちをサポートしたい」という思いから、国家資格である管理栄養士、そして、公益社団法人日本栄養士会および公益財団法人日本スポーツ協会の共同認定による資格である公認スポーツ栄養士を取得。現在の仕事に至っている。
今回ゲスト出演したラジオ番組『アスカツ!』(ラジオ関西)パーソナリティーで、2大会連続で五輪に出場した経験を持つフェンシング元日本代表の西岡詩穂氏も金剛地さんのサポートを受けていた1人だ。
金剛地さんはさまざまな競技のアスリートを食で支えてきたが、「最も栄養管理が難しかったのはラグビー」だという。2020-2021シーズンまでの8シーズンにわたって、ラグビー・トップリーグの東京サントリーサンゴリアスで、チームの栄養面をサポートしていた経験を持つ金剛地さん。身長や体重など、ポジションによって求められる身体が全然違うこともあり、「1つのチームのなかでも、いろいろなバージョンで栄養指導していかなければならない」と、その難しさを語った。
栄養士の仕事には厳格さが求められるイメージがあるが、金剛地さんはアスリートの心情に寄り添うように務めている。栄養管理はもちろんのこと、味や経済面にも気をかけ、好きなものを食べることにも寛容だ。「食事は単に体に栄養を与えるためだけのものではなく、心の栄養としても重要」との考えを示した。
選手にとっての「おかん(=母親)のような存在」を目指していることを明かし、「食事にはいろいろなパワーがあると思っている。もちろん身体作りという面もあるし、あとは“やる気を出す”という面もある。一緒に食べている人たちとのコミュニケーションを円滑にするパワーもあるから、そのパワーをフル活用して選手をサポートする・強くする、というのが自分のモットー」と語った。
栄養士の“変わったルーティン”として挙げたのは、合宿や試合前泊時のホテルでの食事だ。ホテルでは事前にメニュー調整を行い、ビュッフェ形式で提供される多種多様な料理が調整通りかを確認するためにすべてのメニューを試食するという。
このルーティンを聞いた西岡氏は「女性に聞きづらいのですが、体重が増えたりしないのか」と質問。自身の経験から「自分の食事量をつかむのが難しく、つい食べすぎてしまう」そうで、ラグビー選手などが大量に食事をとるシーンに目が慣れることもあり、「自分もそれくらい食べられるんじゃないか?」と思い込んでしまうのだと、アスリート視点での思いを明かした。
中学生や高校生のスポーツマンが摂取すべき、または避けたほうがいい栄養について尋ねられた金剛地さんは、「成長期なので、一番(大切なの)はなるべく好き嫌いをせずに食事量をしっかりとること」と回答。そのうえで、「新しい商品・栄養素というよりも、見慣れた栄養素や食べ物を食べてもらえばいい。給食は栄養教育の教科書としてすごくいいものなので、それを参考にメニューを考えるのもいいかなと思います」と述べた。
公認スポーツ栄養士が天職だと感じているという金剛地さん。しかし、今後の活動について考えるうえで「栄養士以外に、さらに自分が楽しいと思えるものがあるのではないか」と模索しているそうで、「(自分が楽しいと思えるものが)まだわからないが、さまざまな人との会話や、本や映画からヒントを得ようとして、毎日をワクワク過ごしている」と笑顔で語った。