世界文化遺産・清水寺(京都市東山区)に、岩手県の伝統工芸・南部鉄器の風鈴約500個がお目見えした。
清水寺境内の開山堂と、本堂へ続く回廊につるした鉄製の風鈴の音は、ガラス製とは異なり、高い響きで透き通るように美しく響く。
清水寺を創建した坂上田村麻呂が、征夷大将軍として801(延暦20)年に蝦夷征伐を行った際、陸奥国(現・岩手県盛岡市)の族長、アテルイ(阿弖流為)とモレ(母禮)との間に、敵・味方を超えた友情が生まれたという。
清水寺では、この友情にちなんで2009(平成21)年から毎年8月、南部風鈴を飾るようになった。風鈴は、主に岩手県出身者で構成する「京都清水寺で南部風鈴を愛でる会」から提供されている。
今年(2023年)で14年目となった。この間、東日本大震災からの復興、新型コロナウイルスの早期収束、ウクライナの平和を願い、訪れる人々に涼しさとともに、世の中の平穏をもたらす音色を捧げている。
清水寺の森清範貫主は、風鈴に、どんな苦難にも臆することなく立ち上がる、という意味の「百折不撓(ひゃくせつふとう)」という言葉を添えた。