福祉×テクノロジーで切り開く新しい“介護”の形 神戸でVR体験会 シニア世代に生まれた笑顔と意欲 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

福祉×テクノロジーで切り開く新しい“介護”の形 神戸でVR体験会 シニア世代に生まれた笑顔と意欲

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 こうした新テクノロジーの導入はいろんなところですでに始まっています。

 今回の体験会の会場となった「六甲の館」でも、2年前から介護現場にVRやロボットセラピーを導入してきました。

 社会福祉士でもある溝田弘美施設長は、「いざ導入してみると、認知症のみなさんは新しい技術をすんなり受け入れてくれます。猫や赤ちゃんのVR動画は特にみなさん喜ばれますね。タブレットで動画をみるのと、VRで見るのとでは没入感が違う。娯楽として気分を発散できるので気持ちの安寧にもつながります」と手ごたえを感じてるようです。

六甲の館のスタッフもVR体験

 また、今回のプロジェクトが単なるVR体験の提供にとどまらないのは、動画コンテンツを地域住民が作り上げた点にあります。

 今年3月から始まった動画づくりには、同区の「千代が丘ふれあいのまちづくり協議会」のアクティブシニアを中心とする12人が参加。SNSに触れたことがないメンバーもいましたが、登嶋氏から360度カメラの撮影ノウハウを学び、動画を完成させました。

第1回ワークショップ1、VRヘッドセットを初めて手にする住民ら(写真提供:Facebook Japan)
第3回ワークショップ1、360度カメラを使った撮影風景(写真提供:Facebook Japan)

「千代が丘ふれあいのまちづくり協議会」委員長の妻木陽子氏は「新しいことにチャレンジしたいという気持ちでワークショップに取り組みました。コロナ禍で地域活動が縮小を余儀なくされてきたが、地域活動の意義を再認識できた。長年地域に住んでいる私たちも知らなかった新しい景色を見ることができ、ワクワク楽しい経験でした」と振り返りました。

 登嶋氏は「VRの撮影が地域のコミュニティのつながりを強めるきっかけにもなる。新テクノロジーがあると、普段活動に関わっていない男性も積極的にかかわりやすい」と意外な効果も説明します。

 神戸市企画調整局副局長の岡山裕司氏も「動画のコンテンツを地域のみんなでつくったというとのがポイント。阪神・淡路大震災から30年近くたち、地域活動の担い手の高齢化も問題となっている。新しい技術を使って、地域活動の活性化につなげる。これもスマートシティの一つの形だ」と話していました。

 今回の体験会で、神戸市での同プロジェクトは一区切りを迎え、この秋からは舞台を岩手県盛岡市に移します。Facebook Japan公共政策本部長の泉谷晃氏は「コミュニティーづくりを応援していくのが私たちのミッション。これからも、テクノロジーがコミュニティーにどう貢献できるのか、取り組んでいきたい」と述べました。

 福祉×テクノロジーが切り開く新しい介護は、シニア世代の地域社会とのつながり強化と、コミュニティーの活性化にもつながりそうです。

写真左から、Facebook Japan公共政策本部長の泉谷晃氏、六甲の館 施設長の溝田弘美氏、東京大学先端科学技術研究センターの登嶋健太氏、千代が丘ふれあいのまちづくり協議会 委員長の妻木陽子氏、神戸市企画調整局副局長の岡山裕司氏
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