全国でさまざまな七夕飾りがある中、兵庫県姫路市・大塩(播磨灘沿岸地域)では2本の笹竹の間に細竹を渡し、着物の形をした紙衣「七夕さんの着物」を飾る風習がある。
“子どもが一生着るものに困りませんように”という願いが込められ、明治初期には始まっていたとされる。
このあたりでは、一般的な七夕から1か月遅れの8月6日夕方から飾り付け、翌7日の朝には播磨灘の澪・湛保(たんぽ)へ流していたという。
この珍しい風習も時代とともに廃れていく中、貴重な伝統を後世に伝えて残していこうと、地元・大塩を愛するメンバーが集まり「大きな縁(塩 「えん」の語呂合わせ)のまちづくり実行委員会」が立ち上がり、2021年から「たなばたさん」の七夕飾りを山陽電鉄大塩駅などで飾るようになった。
実行委員会は、大塩町内の青年世代を中心に約30人で構成される。
時代とともに、人との付き合い方やつながり方が大きく変わる中、先人と気持ちを重ね合わせ、節句としての七夕が絶えることなく、次世代に引き継がれていくことを願っている。
準備に携わってきた助友敦子さんは「懐かしい、と七夕の着物を見に来てくださる方が多く、伝統を守り伝える大切さを感じた」と話す。