古来より日本で親しまれてきた墨に焦点を当て、神戸にゆかりのある書家や画家3人の作品を通して、三人三様の墨の使い方や墨の世界を楽しむ特別展「ながれ・いろどる 墨の世界」が、神戸ゆかりの美術館で開かれている。2023年9月3日(日)まで。

文字や記号は、記録のためなどの実用的なツールとして生み出された。使用場面に応じてその形や線に細やかな配慮がされるようになり、精神性や装飾的な要素など、楽しさや力強さと言った感情に訴えかけるような表現や、書かれた歌の情景を生き生きとイメージさせる文字の構成や配置に心配られるようになった。
日本では、中国から伝わった漢字から仮名が生みだされ、表現がより豊かになったとされる。
特別展では、神戸市立博物館のコレクションから、神戸のかな書を代表する安東聖空(あんどう・せいくう)、深山龍洞(みやま・りゅうどう)、そして画家・山下摩起(やました・まき)の作品や資料、約220点を紹介する。

かな画壇の重鎮として活躍した安東聖空(1893-1983)の作品は、自詠の句をしたためたものが多い。句に合わせた紙を選び、墨の濃淡や空間の配分が絶妙で、落款も「ここしかない」というところに押されている。書というよりまるで絵画を見ているようだ。また読みやすいひらがなと漢字が使われており、「現代の人が共感しやすい」と神戸ゆかりの美術館・辻智美学芸員は言う。
また、硯や水滴など、安東が集めていた文房具類も展示。書が生み出される背景を見ることができる。


淡路市出身で神戸を拠点に活動した深山龍洞は、万葉仮名に「かなの原点」を発見。漢字の力強さを取り入れた書風は、かな書道界の革命児とも言われた。常に線を意識しており、書くものによってその表情は変わる。そんな変化を見る側は感じ取ることができる。








