近年のサウナブーム。多様な施設が次々と登場する中、大阪・心斎橋にあるサウナ施設が個性や地域に根差した“珍しいコンセプト”を打ち出している。令和時代の新しいサウナの形を取材した。
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地下鉄心斎橋駅から徒歩3分という立地に、今年4月にオープンした都市型サウナ「大阪サウナ DESSE(デッセ)」(大阪市中央区)。ビルの4階に8つのサウナを有する。設計には大阪の地域性と歴史を取り込み、デザインにも力を入れたという。
「その時の体調や気分に応じて一人ひとりが最高の満足度を追求できるよう、コンセプトの異なる8つのサウナを設けた」と話すのは、同店の支配人で、運営会社・朝日興業(神戸市中央区)の副社長も務める文城哲さん。
サウナのレイアウトは「水の都・大阪」からインスピレーションを受けたもので、各サウナはさまざまな環境、シチュエーションと組み合わせられている。たとえば、森のような静寂とともに楽しむ「森サウナ」、かつての長堀川沿いの風景“浜蔵”にちなんだ「蔵サウナ」、畳敷きに土壁、炉に見立てたストーブなど、日本の伝統空間を体感する「茶室サウナ」など個性豊かだ。
少人数で貸し切りできる「結びサウナ」は、家族や親しい友人らとの利用を見込んで、レストルームなどの付帯エリアも備える。「入墨、要介護、LGBT(グループ入浴の場合は同性か家族のみ)等、普段サウナに気軽に入れないことが多い条件の人たちでも、思い切りサウナを楽しむことができる場所を目指した」(同店公式HPより)といい、飲食やシーシャ(水たばこ)、会議の開催も想定した空間という。各サウナに設置している電気ストーブは、北欧のサウナ大国・エストニアのものを使用しているとのこと。
一方、食の面で意識したのは、やはり“大阪”だそう。スパイスカレーが大阪で根付いていることに注目した文さん。風呂あがりにホッとできる食べ物をして目を付けたおでんとスパイスカレーを掛け合わせ、オリジナルの「カレーおでん」を同社で開発した。