イルカ、ペンギン、クラゲに金魚。ガラス細工による水の生き物たちが並ぶ企画展「ガラスの水族館」がKOBEとんぼ玉ミュージアム(神戸市中央区)で開かれている。10月3日(火)まで。
ランプワーク(バーナーでガラスを溶かして制作するガラス工芸技法の1つ)で制作された12人の作家による計約120点の作品を展示。色とりどりのガラスで写実的あるいはかわいらしく表現された“水族館の人気者”たちが個性豊かな表情を見せている。
網野篤子さんの作品は金魚尽くし。金魚の種類ごとに外見の特徴やヒレがなびく様子をリアルに再現しており、眺めていると、時間が止まった水槽の中をのぞき込んでいるような気分になる。網野さんは温度差に敏感なソフトガラスという素材を材料にしているといい、展示の紹介文の中で、「凹凸の激しいリアルな金魚を作るのはとてつもなく難しいことを思い知らされる日々でした。けれど、炎でぐにゃぐにゃに溶けたガラスを操るのが面白くてハマッてしまいました。作れば作るほど元々好きな金魚自体に魅了されていく」とのコメントを寄せている。
海岸で拾った石やビーチグラスと見まがう作品を作っているのは、沖縄在住の増永元さん。生物学の博士号を持つ研究者だったが、精巧なアメフラシのガラス細工を見たのをきっかけとしてガラス作家に転身。直接観察した身近な生き物をガラスに記録するスタイルの創作活動を続けている。今回は、豊かな生命があふれる海底を表した作品などを出展。