大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日 184日間)で、ホスト国の日本政府が各国の首脳らをもてなす日本館(日本政府館)の起工式が11日、会場の人工島・夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)で執り行われた。
日本館は、大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を体現する、”万博の顔”となるパビリオン。コンセプトは「いのちと、いのちの、あいだに-Between Lives-」。
「いのちといのちのあいだ」に目を向けてみると、世界は無数の小さな循環によって成り立っているという考えのもと、主に「循環型社会」をプレゼンテーションする。
延べ床面積1万1352平方メートルの3階建て。建設工事をめぐっては、2023年5月31日までに予定価格内で応札がなく、入札が不成立(不調)となった。
通常は再入札となるが、手続きに時間を要するため、発注元の国土交通省近畿地方整備局(大阪市中央区)が「日本館の完成が2025年4月の開幕に間に合わない場合、社会的影響が極めて大きい」として、任意に建設事業者を選ぶ随意契約に切り替えた。このため、一般競争入札の予定価格より約9億円増の76億7800万円で大手ゼネコン・清水建設が契約した。
コストを圧縮するため、建物の一部仕様について見直したが、人件費や資材価格の高騰が影響し、“上振れ”は避けられなかったという。
予定より約3か月遅れての着工となるが、開幕直前の2025年2月末までの完成を目指す。
起工式には、中谷真一経済産業副大臣、万博を運営する日本国際博覧会協会から石毛博行・事務総長や鳥井信吾・政府出展事業検討会議座長(サントリーHD株式会社副会長)、開催地を代表して吉村洋文・大阪府知事、横山英幸大阪市長らが出席し、鍬入れを行った。
日本館の総合プロデューサーを務めるデザイナー、佐藤オオキ氏は東京五輪・パラリンピックで聖火台をデザイン。 パリ五輪開催の2024年に向けてフランス高速鉄道(TGV)新型車両のデザインにも取り組むんでいる。
起工式を終え、佐藤氏はコンセプトについて、「万博会場内で出る大量の生ごみをバイオの力で分解して、水や電気などのエネルギーに変える。これは、一度役目を終えたものが、新たに役割を得て、次の命へつながることを意味する。本当の意味で “生きているパビリオン”にしたい」と抱負を述べた。