映画「国葬の日」9・27から1年経ち公開「忖度なく、あの日の日本を見たくて」 大島新・監督に聞く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

映画「国葬の日」9・27から1年経ち公開「忖度なく、あの日の日本を見たくて」 大島新・監督に聞く

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京都・平安神宮前でのシーン 修学旅行生が戻りつつあった
沖縄・辺野古でのシーン 新基地に抵抗する3005日目の座り込みが続く

 安倍元首相の国葬について、大島監督はずっと気になっていた。会場となる日本武道館がある九段下には多くのメディアが集まり、オンタイムで報じることは目に見えている。大島監督は、どのように独自性を出すかを考えた。

 そこで国葬ではなく、国葬の「日」が大事なんだと気づく。その日一日、全国各地へカメラを出すことで、日本人の意識や特質を表現できないかと思いついた。会えて安倍元首相の地元・山口(下関)にもクルーを出した。そこに“忖度”はない。フラットに、東京や京都、福島や沖縄など全国10か所で撮影できたのは、テレビ局で報道セクションに関わることなく、番組制作をメインにしていたからかも知れないと話す。

長崎のシーン 男性は「自分も反対ではあるけど…」
山口・下関のシーン 安倍晋三事務所を弔問に訪れた男性は…

 「そこに起きている日常を、そこで何を考えているかを、聞ける人に聞こう」。台本なし、脚本なしの撮影、結果として記録性が高い“素の日本人”の姿が見える。公式記録はニュースで報じられた通り、菅義偉前首相の「総理、あなたの判断は、いつも正しかった」、岸田首相の「あなたこそ、勇気の人でありました」という追悼の辞は、日本武道館内部のことに過ぎない。
 大島監督が欲しかった映像は「あの日、日本中にこういう人々がいた」という、もうひとつの側面、いわばSIDEーBのようなものだと話す。

安倍元首相への献花<2022年7月 奈良市・近鉄大和西大寺駅前>

 報道機関として街の声を聞けば「安倍さんはよくやった」「外交に長けていた」、「モリ、カケ、桜(森友学園、加計学園をめぐる問題、桜を見る会での疑惑)はどうする」、あるいは「興味はない」という端的な言葉が返ってくることが多い。しかし、この映画は各地で本音ベースの連続が日本列島を貫いた記録となった。「できそうで、実はできないことをやったね」という、メディア関係者の声もあった。

奈良・大和西大寺駅前のシーン 多くのメディアが待機し、弔問に訪れる人々が往来する
福島・南相馬のシーン 20キロ圏外とされた家で暮らす女性が、昼寝するひ孫を見守る

 カメラは何でもない日常もとらえた。朝10時に東京・上野のパチンコ店の前で並ぶ人々、京都・平安神宮前で屋台イベントの後片付けをする男性、銃撃現場となった奈良・大和西大寺駅前で花を手向け、手を合わせる人々、台風15号(2022年9月23~24日)による大規模浸水被害に見舞われた静岡・清水では、「国からの支援はなく、国葬どころではない」との声。

 作家・落合恵子さんは、東京・日比谷公園の国葬反対集会でマイクを握る。

広島・原爆ドーム周辺のシーン イギリス・エリザベス女王の国葬と比較する声も
東京・日比谷公園のシーン 作家・落合恵子さんは…

■「『国葬の日』本予告編


【映画「国葬の日」WEBサイト】


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