「自分という存在を誰かの心に残して『あの時、あんなおばちゃんおったよな』と思ってもらえるようなことをしたかった」。そう述べるのは、“子育てのまち”として近年脚光を浴びる兵庫県明石市でこども園の理事長・園長を務める佐々木薫さんです。
もともと幼稚園教諭を務めていた佐々木さんですが、「疲れ切っちゃって……ちょっと違うことをしてみたかった」と、明石ケーブルテレビに転職し、一時は別の道にも進みました。それでも業務の傍ら、子ども食堂の運営に携わるなど、子育てのサポートを継続したそう。そのなかで、幼稚園や保育園といった子どもの教育施設を増やすことに行政が力を入れ出したタイミングで、現在の幼保連携型認定こども園「うみの風こども園」開設に至ったといいます。
当時の思いについて「いま思うと、誰かのためというより、自分のため、自分の生きた足跡を残したかったんだと思います。誰かの心に残って『あの時、あんなおばちゃんおったよな』と思ってもらえるようなことをしたかったんでしょうね」と振り返っていました。
同園では0歳児から就学前の子どもの成長を見守り続けていますが、佐々木さんは子どもとの関わり方について次のように語ります。
「子どもって、大人が思う以上にいろいろと見ているし感じているんです。大人にとっては何気ない言葉や仕草でも、子どもからすればすごくうれしく感じたり、逆に傷ついたりもする。だから慎重に、緊張感を持って関わるのが大事だと考えています」(佐々木さん)
さらに子どもとの向き合い方について「私たち(大人が)何かしてあげようというのが、それこそ傲慢」だと述べたうえで、「『幸せにしたろ』なんて本当にできるのか? だって自分たちの方が子どもより先に死ぬんですから。だから何かして『あげる』のではなく、子どもが幸せに生きていく力をつけられる環境を用意したいと思っています」と、独自の教育論を展開していました。
最後に佐々木さんは「子どもに『こんな先生にこんなこと言ってもらったな』『こんな人がいたな』と思い出してもらえる存在になりたいし、子どもが『生まれてきてよかった』と思えたり、保護者が『産んでよかった』と思える社会にしたい。そのために『うみの風こども園』という施設を活用していきたい」と今後の展望を明かしました。
※『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2023年9月25日放送回より