現在1万点を超える作品を収蔵する兵庫県立美術館(神戸市中央区)。昨年(2022年)に新たに仲間入りした作品を中心にした特集「Welcome!新収蔵品歓迎会」と、手で触れて作品を鑑賞できる小企画「美術の中の形―手で見る造形」展からなる「2023年度コレクション展Ⅱ」が開催されている。2023年12月24日(日)まで。
「新たにコレクションに加わった作品はどれも個性豊かで、あらゆる所から兵庫県立美術館にやって来た。それをすでにここにいた作品たちがサークルのように歓迎する祝祭的な展示」と話すのは同館の林優学芸員。特集「Welcome!新収蔵品歓迎会」のタイトルにはそんな意味が込められている。各章を「サークル」に見立て、「新入生」と「先輩」作品を紹介する。
「コスチューム研究会」では、単に身に纏うだけでなく、時代や地域、文化との関わりの中で社会的な役割を担うコスチュームに注目した。
着物姿でほほ笑む女将、優しく患者の手を握る看護師、いかめしい顔で違反を取り締まる警察官。澤田知子の「Costume」は、澤田自身がモデルになったセルフポートレイト。コスチュームによって別の人格や振る舞いを演じ分けているように見える。そこには見る側が持つ「ステレオタイプのイメージ」が反映されているようだ。
「身体研究会」では「からだ」をモチーフにしたもの、「風景愛好会」では、風景画を集めた。例えば風景画では、輪郭線を描く作家と描かない作家、遠近感や光や風など形を持たないものをどのように表現しているのか、それぞれの違いを見ることができる。