女子サッカーの「2023-24 WEリーグカップ」は10月1日でグループステージが終了。最終節で勝てば決勝に進める可能性があったグループBのINAC神戸レオネッサは、アルビレックス新潟レディースに0-1と惜敗。この結果、2勝3敗の勝点6で6チーム中5位となり、グループステージでの敗退が決まりました。元なでしこジャパン(日本女子代表)DF川上直子氏は2日放送のラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)で、同リーグカップを振り返って、INAC神戸の課題を指摘していました。
1日午後3時から大阪のヨドコウ桜スタジアムで新潟L戦に臨んだ、INAC神戸。GK山下杏也加選手は欠場したものの、FW田中美南選手、DF守屋都弥選手、DF三宅史織選手といった女子W杯出場組もそろったなかで勝利を狙いに行きましたが、そこに立ちはだかったのは、新潟Lの元INAC神戸勢でした。
前半18分、今シーズンから新潟Lの一員となったMF川澄奈穂美選手の右クロスにFW道上彩花選手がヘッドであわせてゴール。この1点がINAC神戸には最後まで重くのしかかりました。新潟Lの倍となる20本のシュートを放って反撃したWEリーグ初代王者でしたが、得点には至らず。同時刻に行われた試合で日テレ・東京ヴェルディベレーザがちふれASエルフェン埼玉に2-5と敗れていたため、勝てば自力で決勝に進めていたのですが、それもかなわず、悔しい敗戦となりました。
リーグカップ5試合の内容について、川上氏は、「試合のなかでチグハグな面が多い。INACとしてはもっとしっかりとつないでいきたいサッカーをしたいのだと思うが、スペースに蹴ってしまって、後追いみたいになっている。そういうサッカーをたぶん目指しているんじゃないよなと。全員がそうというわけじゃないが、『いま、こうやってゴールを取りに行こうよ』という意思の疎通のところで、全員での共通理解が持てていないのかなと。そういう場面もありますね」と、課題をあげていました。
番組リスナーからも「監督はサイドから攻撃したいのに戦略が浸透していない。スペイン人監督に日本では成功するのは長期的な時間がいるから難しいシーズンになりそうな予感。開幕までどれだけポジションサッカーができるかがカギ」という厳しい声も寄せられていました。
これについて、川上氏は、「外からクロスが結構入っていたと思うが、中がすごくチャンスだとは観ている方としては思えない。迫力不足なのと、ゴール前に入っていく入り方が悪いのか、(ペナルティーエリア内に)人数がかけられていない。もっとゴール前の迫力が欲しいかなと思う」と述べていました。
今シーズンはスペイン人のジョルディ・フェロン新監督のもとで戦うINAC神戸。オフに中盤の主軸がそろって移籍したことなどや、女子W杯出場のなでしこ勢の新シーズン合流が遅れたことも重なり、今はチーム作りの途上。ただし、2021-22シーズン、2022-23シーズンと、公式戦で3敗ずつだったのが、このリーグカップ戦だけですでに3敗を喫したことで、常勝軍団には若干の不安もよぎります。
11月11日にはWEリーグが開幕しますが、それまでにWEリーグカップで出た課題を克服できるか、約1か月間の調整期間はクラブにとって今後を占う意味でも非常に重要なものとなるでしょう。なお、INAC神戸の開幕戦の相手は、今回と同じ新潟L。昨シーズンのリーグ戦でも敗れている難敵相手に、ホーム・ノエビアスタジアム神戸でのリベンジなるか、注目です。
川上氏は、「開幕まで1か月あるが、アジア2次予選の代表活動が入ってくるので、チームとして丸1か月をすごすわけにはいかない。それでも、代表以外のメンバー、特に若手はもっとがんばらないと。チャンスはそんなにないし、このままだと1年でクビになってしまう……プロ選手なのだからしっかりやらないと」と、叱咤激励していました。
一方、最終節で勝った新潟Lは勝点を8に伸ばし、同勝点の大宮アルディージャVENTUSを得失点差で上回って、初の決勝進出を果たしました。WEリーグカップ決勝ではグループAの1位サンフレッチェ広島レジーナと新潟Lが、14日に川崎・等々力陸上競技場で顔を合わせます。
長年INAC神戸でプレーした経験を持つ新潟Lの元なでしこMF川澄選手について、「みんな大好き川澄ちゃん」と愛情をこめて紹介する川上氏は、「アルビレックスが円陣を組んだとき、川澄選手がみんなに指示を出したり鼓舞したりしているのをみて、もうチームの中心になってやっているんだと感じた。道上選手とともに『古巣相手にやってやるんだ』という気持ちがあった」と称賛していました。