平安時代の「両界曼荼羅図」は、密教の世界観に基づき、「胎蔵界」と「金剛界」という2つの世界を表している。縦約185センチ、横約165センチで、描かれてから1000年以上を経た現在でも、鮮やかな極彩色が残る。
通常は奈良国立博物館で保管されているが、今回、東寺では2015年以来、8年ぶりの一般公開となる。
東寺・御影堂の小屋裏には、江戸時代の棟札が多く残されている。棟札の年号をみると、寛永13(1636)年、寛文12(1672)年、享保17(1732)年、明和9(1772)年、明治16(1883)年、大正9(1920)年となっている。50年ごとに行われる弘法大師遠忌を節目として、御影堂の屋根の葺き替えや西院の大きな修理を行ってきたことがわかる。
2015(平成27)年~19(令和元)年の修理では、享保期の棟札が新たに見つかった。
さらに、南北朝時代に空海の生涯を絵巻にした重要文化財「弘法大師行状絵巻」も8年間の修復を経た「東寺勅給」、「講堂起立(きりゅう)」の2巻を展示する。
「弘法大師行状絵巻」は、空海生誕600年を記念した1374(文中3・応安7)年に計画され、15年後の1389年に完成したもの。
東寺の新見康子・文化財保護課長は「修理後の絵巻物の鮮やかさ、彫刻や曼荼羅など東寺の1200年の寺宝に触れ、弘法大師・空海が伝えたかった密教を感じ取っていただければ」と話す。