わたしたちの身の回りに必ずあってよく使う物……といえば、トイレットペーパーやティッシュといった紙製品。生鮮食品と違い、傷みや腐敗の心配はほぼ無いものの『コープこうべ商品検査センター』にはこれら紙製品についての問い合わせも少なからずあるとか。どういった問い合わせ内容なのでしょうか? 同センターの担当者に聞きました。
☆☆☆☆
〈問い合わせ・その1〉
「いつもと同じものを買って保管していたトイレットペーパーを開封したら、いつもと同じ商品なのになぜか違うにおいがした」
――買う商品を変えたら“違うにおい”がするのはわかります。ですが、同じものを買い続けているにもかかわらずにおいが違うというのは不思議ですね。一体何が起きているのでしょうか。
【担当者】これはトイレットペーパーに周りのにおいが入り込んでしまう、「におい移り」という現象が起きてしまったと考えられます。
――トイレットペーパーには周囲のにおいが移ってしまいやすい特徴があるのでしょうか。
【担当者】これらの紙製品は繊維の集合体なので、小さな穴がたくさんあいています。空気中には微小でさまざまな「においの成分」が漂っており、この成分が穴の中に入り込んでしまうことがあるのです。
――保管中はにおいの強いもの、例えば芳香剤や洗剤などと分けて保管するのがよいのでしょうか。
【担当者】その通りです。紙製品を保管する場合には、においの強いもののそばに置かないようにしてください。保管場所も大切です。たとえば押し入れなどに入れてしまうと、独特のにおいが移ってしまうことがあります。では未開封状態、要するに外袋に入ったままなら大丈夫か……といえば、そういうわけでもないのです。包装用フィルムはわずかに空気を通すため、におい移りが発生することもありますので注意してください。
〈問い合わせ・その2〉
「ティッシュを取ろうとしたらアリが出てきた」
――これは、アリが外から入ってきたということだと思うのですが……。ティッシュはアリにとっておいしいものではないでしょうし、なぜティッシュ箱の中にいたのでしょうか。
【担当者】ルリアリという種類のアリは樹皮や枯葉、草地の下などに巣を作る習性があります。ティッシュのように植物繊維を原料とする紙が詰められている状態がこれに類似しているためと考えられています。
――このアリはティッシュを食料としているわけではなく、ティッシュが箱に詰まっている状態が“巣の住み心地”に似ているということなのですね。
【担当者】好んで住処にしているアリには申し訳ないのですが、こういった場合、アリを取り除いたら箱の付近を住居用の洗剤などでふき取ってください。アリは体内からフェロモンを出し通り道に残して仲間に場所を知らせているため、まずはそれを除去することが大切です。それでもアリが寄ってくる場合は、保管場所を変えてみてください。紙製品からアリが出てくることは、トイレットペーパーやキッチンペーパーなどの紙製品全般にみられる現象で、決して珍しいことではありません。