女子サッカー・WEリーグのカップ戦、「2023-24 WEリーグカップ」では、サンフレッチェ広島レジーナ（S広島R）が優勝。クラブ創設3年目にして初タイトルを獲得しました。なでしこジャパンOGが16日放送のラジオ番組で、決勝の感想や、11月から始まるWEリーグの展望を語りました。
10月14日の「2023-24 WEリーグカップ」決勝は、S広島Rとアルビレックス新潟レディースの顔合わせに。WEリーグ絡みの公式戦では2番目の多さとなる6261人の観衆が川崎・等々力陸上競技場に集った試合では、互いにチャンスを作りながらシュートがクロスバーに阻まれるなど決め切れず。延長戦でも決着がつかず無得点のまま120分を終了。勝負はPK戦にもつれこみ、4人全員が決めたS広島Rに対して、新潟Lは3人目と4人目が連続で失敗。PKスコア4-2で、S広島Rに軍配があがりました。
「等々力はピッチと（スタンド）の距離もあり、集客も心配だったが、新潟や広島から、遠路はるばる川崎での試合で、6000人来てくださったのはよかった」というのは、元なでしこジャパンDF川上直子氏。
勝利したS広島Rは、元なでしこジャパンDF近賀ゆかり選手がキャプテンを務め、先のアジア競技大会金メダル獲得に貢献したMF中嶋淑乃選手らを擁するチーム。そこに今シーズンは、「ジェフユナイテッド市原・千葉レディースから加わったDF市瀬千里選手、大宮アルディージャVENTUSから入ったFW高橋美夕紀選手（※「高」＝はしごだか）、ノジマステラ神奈川相模原からやってきたMF松本茉奈加選手ら、移籍組が早速レギュラーで活躍するなど、層が厚くなっている」と、川上氏。
今大会では、グループステージで前年度覇者の三菱重工浦和レッズレディースを2-1で下すなど、グループAを4勝1分けと無敗で乗り切り、初のファイナリストになると、決勝でも元なでしこジャパンMF川澄奈穂美選手らを擁する新潟Lとの激闘を制して、頂点に駆け上がりました。
2017年度のなでしこリーグカップ（1部）でジェフユナイテッド市原・千葉レディースが優勝していますが、最近の女子トップカテゴリーのタイトルは、浦和L、INAC神戸レオネッサ、日テレ・東京ヴェルディベレーザの3強が占めてきました。しかし、その牙城を、このたびS広島Rが切り崩す形に。3強が主要大会の決勝に進めなかったのも、近年まれにみる出来事です。川上氏はS広島Rについて、「今シーズンのWEリーグでも要注意チームになるだろう」とコメントしていました。
ラジオ番組のリスナーからも、「これから（今までの）3強ではなくなるのでは？」というメッセージが寄せられましたが、川上氏も「3強ではなくなると思う」と予想。
特に、現なでしこジャパンFW植木理子選手（ウェストハム・ユナイテッド/イングランド）やFW小林里歌子選手（ノースカロライナ・カレッジ/アメリカ）ら強力攻撃陣が海外クラブに移籍した東京NBについては、「前の選手が抜けちゃったので相当大変。個々に上手さがあるとはいえ、得点を取れるかとなると……。若手もそんな急に伸びないので、ちょっと戦力的に落ちるのかな」と、古巣の状況を苦慮します。
一方、INAC神戸とともに、なでしこジャパンのパリ五輪アジア2次予選メンバーに4選手を送り出している前年度WEリーグ王者の浦和Lについては「安定している。選手層も厚いし、チーム内のバランスを見てもよさそう」と、戦力は盤石とみているよう。
また、S広島Rとともに、注目のチームには今シーズンから参入するセレッソ大阪ヤンマーレディース（C大阪）を挙げ、「若い選手がたくさんいる新しいチームで、失うものがないという感じでガンガン来ると思う」と述べていました。
そのC大阪と同じ関西のINAC神戸は、10月21日（土）午前10時から、滋賀の皇子山陸上競技場でプレシーズンマッチを行う予定です。C大阪がアジア競技大会金メダルメンバーのMF脇阪麗奈選手、DF小山史乃観選手らベストメンバーをそろえることが濃厚な一方、INAC神戸はなでしこ勢のGK山下杏也加選手、DF三宅史織選手、DF守屋都弥選手、FW田中美南選手が不在。リーグカップ戦同様、若手のアピールの場となりそうです。
川上氏は、この一戦の注目選手に22歳、加入5年目のサイドアタッカー・MF水野蕗奈選手をピックアップ。「昨シーズンのけがもあり、（長期離脱からの復帰で）コンディションがどこまで上がってきているか。セレッソ戦で出場して活躍できるようであれば、開幕が一層楽しみ。彼女の活躍なくしてINAC神戸が優勝するのは大変だと思うので」と、WEリーグ王座奪還のキーマンの1人にあげていました。
※ラジオ関西『カンピオーネ！レオネッサ!!』2023年10月16日放送回より
【今回のリクエスト曲】
ちゃんみな「Never Grow Up」
「友だちから教えてもらった曲で、とってもきれいなラブソング。私はサビの部分が大好きです！ この番組では珍しく恋愛ソングをリクエストします！ INACの選手たちも恋バナとかするのかな……と。そっちの話もすごく興味があります。目まぐるしく試合とか続いているので、大変だとは思いますが、できたら恋愛とかオフの話も聞きたいな♪」（寺田光）
