中島健人がサスペンス映画初出演。本人20代最後の作品です。映画『おまえの罪を自白しろ』が全国公開中です。
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主人公は議員秘書の宇田晄司です。晄司の父親・清治郎は官僚から国会議員になり、いま内閣府副大臣を務めています。宇田家は政治家ファミリーで、晄司の兄の楊一郎は県議会議員で、妹の夫・恒之は市議会議員です。
晄司は、建築会社を立ち上げましたが経営に失敗し、現在は仕方なく父親の秘書をしています。
晄司の妹・麻由美がある日、自転車に3歳の娘・柚葉を乗せて家に帰る途中、後ろから走ってきた軽ワゴンに突きとばされてしまいます。麻由美が起き上がると、柚葉の姿が見あたりません。柚葉は誘拐されたのです。父・清治郎の秘書たちが日頃から共有しているスケジュールアプリに、柚葉が縛られテープで口をふさがれている画像が送られてきました。警察がマスコミと報道協定を組み、水面下で捜査を始めます。
清治郎は秘書たちに命じました。
「金を2億円用意しろ!」
このあと、犯人からメッセージが届きました。
「宇田清治郎に告ぐ。我々の要求は金銭ではない。孫娘の命を救いたければ、明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ。今まで政治家として犯してきた全ての罪を、胸に手を当て、己の罪をみつめ、自白しろ」
犯人が要求してきたのは身代金ではなく、記者会見でした。麻由美は激しく動揺し、父・清治郎に涙声で訴えます。
「犯した罪をすべて話してくださいっ」
晄司が麻由美の目を見て伝えます。
「柚葉は必ず、助ける」
これまでの議員生活で清治郎自身、罪として認識している行動はいくつもありました。最近、国会では、地元の荒川に架ける橋の工事をめぐって清治郎が建設予定地の変更を提案し、夏川総理の友人に便宜を図ったのではないかと野党から追及を受けています。土地の所有者が総理の学生時代からの友人で、評価額より高い金額で国が土地を買い取ったのではないかという疑惑が持ち上がっています。また清治郎はかつて、事務所の資金を着服したとして秘書の男性を殴ってケガさせたことがあります。
こうした内容を記者会見で明らかにすれば、捜査機関に清治郎や総理が逮捕される可能性があり、そうなれば政治生命は終わります。清治郎の頭には、会見で罪を自白しても逮捕されない方法がありました。法務大臣が持つ「指揮権発動」です。この権限を使って逮捕を阻止するよう、官房長官に連絡を取ります……。
原作は、真保裕一のサスペンス小説です。
脚本を『64-ロクヨン』などで知られる久松真一が手がけ、監督を水田伸生が務めました。