日本屈指の観光地として、毎日のように国内外から多くの人々が集まる京都では、目的地まで楽々アクセスできるタクシーが大活躍しています。なかでも“三つ葉”がトレードマークの「ヤサカタクシー」は、京都を訪れたら一度は見かけるはず。さて、同タクシーには「あんどん部分」にある三つ葉マークが四つ葉バージョンになっていて、通称「四つ葉タクシー」と呼ばれる車両があることをご存知でしょうか?
まるで都市伝説のような話ですが、四つ葉タクシーは今も実際に運行されている車両なのです。誕生の経緯や台数など、「ヤサカタクシー」こと彌榮自動車株式会社(本社:京都市下京区)の江畑明宏さんに聞きました。
四つ葉タクシーは、20年ほど前に乗客からの投書をきっかけに誕生しました。
「内容は『三つ葉マークのヤサカタクシーを探していたところ、前日の雨のせいか、濡れた葉が三つ葉部分にくっつき、四つ葉に見えた』というものです。お客さまいわく、そのタクシーに乗った後から幸運な出来事が続いているということで、『四つ葉タクシーを走らせてください』とのことでした」(江畑さん)
乗客の投書によって実現した四つ葉タクシーですが、一体何台ほど運行しているのでしょうか? 江畑さんによれば、同社のタクシー約1300台のうち、四つ葉のタクシーはたったの4台のみ。車両は毎日運行されているものの予約や指名はできないので、出会えるかどうかは「運次第」というわけです。また、四つ葉タクシーを運転するドライバーも限られているのだとか。
「京都市域に限っても、ヤサカタクシーのドライバーは約2000名ほど在籍していますが、四つ葉タクシーを担当できるのはサブドライバーも含め10名から15名程度です。接客技術・運転技術・地理知識・観光知識など、さまざまなスキルをもとに各営業所のセンター所長が選出します」(江畑さん)
激レア車両ということもあり、運よく乗車できた人には「乗車記念証」と四つ葉ステッカーをプレゼントしているそうです。
「SNSの普及により、最近では少なくなっているかもしれませんが、実際に声をいただいたり、お礼状をいただくこともあります。私自身も、『いいことがあった』『見つけてみたいけど見つからない!』といったお声をいただきますね」と江畑さん。なかには、外国人観光客がわざわざイラストに描いてSNSに掲載したケースもあるそうで、いかに四つ葉タクシーがインパクトを残したかがうかがえますね。