中綿なのに商品名は“ダウンジャケット” ←法的に問題無いの? 消費者庁「優良誤認表示の可能性」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

中綿なのに商品名は“ダウンジャケット” ←法的に問題無いの? 消費者庁「優良誤認表示の可能性」

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 真冬に大活躍するアウターといえば、キルティング状になった生地の中にダウン(羽毛)が入っている「ダウンジャケット」。軽く保温性の高アイテムは毎シーズン人気ですよね! しかし、詰め物が綿(わた)のみのものはダウンジャケットとは呼びません。ですが、ネット検索するとそういったものを「ダウンジャケット」と銘打って販売されているものが多数見つかります。有名インフルエンサーを自称する人が展開するブランドにおいても中綿ジャケットが「ダウンジャケット」「ニットダウン」として販売されているケースも見つかりました。また、商品説明に「ダウン(中綿)」と表記のあるブランドも。

 こうした販売方法に問題は無いのでしょうか? 消費者庁に加え、アディーレ法律事務所の長井健一弁護士ら専門家に話を聞きました。

真冬でも暖かい「ダウンジャケット」

 消費者庁によると「景品表示法 第五条(不当な表示の禁止)」に抵触する可能性がある、とのことです。景品表示法第五条には「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの表示を禁止する」とあります。

 具体的には、商品・サービスの品質を実際よりも優れていると偽って宣伝し、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当する……といった内容であり、つまり「中身が中綿であるのにも関わらず『ダウンジャケット』として販売するのは『優良誤認表示』に該当する可能性がある」というのが消費者庁の見解でした。同庁に不当表示とみなされた場合には、商品名に対する措置命令やその商品の売上に対する課徴金納付命令が課されるとのこと。

 アパレル量販店の大手であるユニクロやGUでは、ボリュームのある中綿ジャケットの商品名を「パデッドボリュームジャケット」「ヒートパデッドブルゾン」としており、ダウンという表記は使っていません。

 商品名にダウンと記載しつつもダウンが全く使われていない商品を購入してしまった場合、店に対し返品や返金を求めることはできるのでしょうか? アディーレ法律事務所なんば支店の長井健一弁護士によると「詰めているものがダウンだと偽って販売していたような場合には、詐欺にあたるとして契約の解除等が認められる可能性はあります(民法96条)」としながらも「商品名をダウンジャケットとして売買しただけだと、法律に基づいて返品や返金を請求することは難しいと思われます」とのことでした。

ダウンジャケットにはダウン(羽毛)が入っており、中綿のみのものは通常ダウンジャケットとは呼ばない

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 近年ではダウン(羽毛)に匹敵するほど軽く暖かい高性能な中綿素材の開発が進んでいますが、それでも中身にはこだわりたいもの。購入を検討する際は商品名だけでなく、品質表示もしっかり確認する必要があるかもしれません。

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