■始まりは「河童のガジロウ」
福崎町は、日本民俗学の父と言われる柳田國男の生誕地。彼の著書に、妖怪が出てくる作品が多いことにちなんで進められているのが、リアルな妖怪による町おこしです。
始まりは2013年。河童のガジロウが、辻川山公園の池に設置……いえ、池で“発見”されたことでした。実はガジロウも、柳田國男の著書『故郷七十年』に出てくる駒ヶ岩の河童「ガタロ」をモチーフに生まれたキャラクターです。兄がいて、兄にはガタロウの名が付けられています。
それ以降、“妖怪の町”らしい企画やイベントを繰り出したところこれが盛り上がり、福崎町の観光客数は右肩上がりに。町おこし開始前は年間20万人ほどだった観光客が、今ではその約3倍になりました。2022年度は60万人を超える人が訪れたそうです。
■10周年記念のガジロウの絵コンテストも
福崎町の知名度アップに大きく貢献したのは、なんといってもガジロウ。最初こそ、あまりのリアルさに町民の間でも怖がられていたとのことですが、今ではすっかりおなじみのキャラクターになりました。
辻川山公園で“発見”されてから10年。今年は、1日たりとも休まず池から出没してきたガジロウの誕生10周年を記念した「ガジロウの絵コンテスト」が開催されます。自由な発想で河童のガジロウをモデルに描いて応募すると、最優秀賞・優秀賞受賞者と入賞者に賞金が贈られます。
■「重ね捺(お)しスタンプラリー」
ガジロウは、福崎町の街なかにも出没します。“日本一の勤労河童”と言われるほど働き者だそうで、町内のイベントにも姿を見せます。今年は「重ね捺しスタンプラリー」の抽選会に登場し、抽選を担当しました。
重ね捺しスタンプラリーとは、設置されたスタンプを、専用のスタンプカード(1枚100円)に重ねて捺していくことで一つの作品を完成させる、浮世絵作りのような趣向を楽しめるスタンプラリーです。町内を巡り、7種類のスタンプをすべて重ね捺しすると現れるのは、先述のマンホールのデザイン。全スタンプを集めた人は、福崎町の特産品や妖怪グッズなどが当たる抽選に応募することができます。
なお、参加施設・店舗でスタンプカードを提示すると優待やサービスを受けることができます。また、カードはハガキになっていて記念に持ち帰ることもできます。抽選は年2回。次の抽選は来年3月を予定しているとのことです。
(取材・文=吉良奈菜子)
「ガジロウの絵コンテスト」について(福崎町公式ホームページ)
「重ね捺しスタンプラリー」について(福崎町観光協会公式ホームページ)
※それぞれ他サイトへ飛びます。