【兵庫県】「ため池」の数、日本一! 貯水以外の新たな役割模索 水量を調整し、洪水対策も | ラジトピ ラジオ関西トピックス

【兵庫県】「ため池」の数、日本一! 貯水以外の新たな役割模索 水量を調整し、洪水対策も

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 兵庫県には数多くのため池があり、その数はなんと全国一位。もともと農業用水を確保する目的でつくられたため、雨が少なく水が不足しやすい地域に多く存在しています。しかし近年、田畑の減少や社会情勢の変化、さらには老朽化などの影響によりため池を取り巻く状況は悪化しつつあるといいます。同時に、農業用水の確保以外にも活用しようという動きも注目を集めているのだとか。ため池の新たな役割について、高砂市ため池協議会の増田会長に話を聞きました。

高砂市ため池協議会の増田会長

 増田会長いわく、近年におけるため池の役割はおもに以下の3つが挙げられるのだそう。

1)農業用水の確保
2)景観の形成
3)防災

 農業用水を確保するための人工池としてつくられたため池ですが、長い年月の間にさまざまな生き物が住まうようになりました。なかには、絶滅の恐れのある生き物が住んでいることも。さらに、自然豊かなため池周辺の景色は、見る人の心に安らぎを与えてくれるという効果もあります。

高砂市阿弥陀町魚橋のため池
高砂市阿弥陀町魚橋のため池

 そして現在、最も注目すべき役割が“防災”です。近年、ゲリラ豪雨をはじめとした異常気象により大雨が降り、多くの市街地が洪水の危険にさらされています。これを受け、ため池の水量を事前に調整することで豪雨・洪水対策を行う動きが出てきたのです。なかでも高砂市阿弥陀地区では、過去の洪水被害の経験からこうした動きが特に活発になっているといいます。

鴻ノ池(兵庫県高砂市阿弥陀町魚橋)
鴻ノ池(兵庫県高砂市阿弥陀町魚橋)

 農業用水として水が必要になるのは、6月から8月ごろ。一方、台風が最も多い期間は9月から10月ごろです。そこで、ある程度の農業用水を確保しつつ、大雨が予測されたら事前にため池の水を減らして調整。雨水をより多く貯められるようにすることで下流での洪水被害を防ぐ、という対策が実践されているのです。治水用の新しいダムをつくるよりもお金がかからない、という点も大きなメリットといえます。

 増田会長によると、水量の調整を行うことは豪雨・洪水対策として有用であるだけでなく、山火事が起こった際の保険としても効果があるのだそう。

 ため池に期待される役割が増えていく一方で、課題も存在します。

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