カナダ政府のローリー・ピーターズ代表は、プレゼンテーションで「水路氷結(すいろひょうけつ)」という、カナダで見受けられる自然現象を挙げた。
川の表面に張り詰めていた氷が溶けて割れ、下流へ流れる際に氷片となって集積し、流れがせき止められるもので、「冬から春にかけて、溶けた氷が川に流れ出して自然界に成長と再生の機会が生まれるという発想は、社会にも同じことが言える」と話した。
外観デザインについては、「カナダ特有の独創性と創造性を結集した」と自信をのぞかせる。
■川をめぐる旅
一方、氷を表現した外観とは対照的に、パビリオン内の展示は、カナダ社会の温かさや開放性などを打ち出す。入場者は「川をめぐる旅」に出かける設定で、カナダの先端技術をはじめ、食文化や先住民文化に触れることができるという。さらに、カナダのイノベーション(技術革命)と創造性にスポットを当て、新たなビジネスが生まれる場も提供する。
■パーツを組み立て、日本へ
気候変動に対する取り組みとして、パビリオン建設は持続可能なデザイン原則に基づき、再利用できる素材を使用する。建設作業を迅速に進めるため、カナダやイギリスであらかじめ作った建物のパーツを日本へ運び、大阪で組み立てる。2024年の春にも会場の人工島・夢洲で着工する予定。
ピーターズ代表はこの日、公表した概要について、「(今回の発表は)まだ初稿に過ぎない。今後お知らせする中身も楽しみにしてほしい」と述べた。
前日まで大阪府堺市で開かれた先進7か国(G7)貿易相会合に出席していた、カナダのメアリー・エング国際貿易相も会場に駆け付けた。
そして、1986年のバンクーバー世界交通博を引き合いに、「リニアモーターカーのデモンストレーション走行が大きな話題となり、この年、ホンダがカナダ(トロント)工場で生産を開始した。それまで寿司を食べたことがないカナダ人が、これを機に日本を知るようになった」と振り返り、「大阪・関西万博は、日本とカナダにとって大きな偉業になる」と期待を寄せた。
■大阪・関西万博 カナダパビリオン・デモンストレーション ※動画提供・カナダ大使館 (この動画に音声はありません)