秋は新米の季節。日本だけでなく世界的にも広く食べられている米ですが、いったい何種類あるのでしょうか? 米の博士号「五ツ星お米マイスター」の資格を持つ、山下治男さんに聞きました。
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まず、世界的に流通している米は大きく3つに分類できます。日本でよく食べられている短くて丸みがある「ジャポニカ種」、タイ米のような細長い「インディカ種」、そしてリゾットなどで使われる粒が大きい「ジャバニカ米」です。
最もメジャーな品種は、米にとって悪条件である高温多湿な環境でも採れやすい「インディカ種」。主にアジアで作られており、中国・インド・バングラデシュ・アメリカで栽培されているそう。
ヨーロッパでは「ジャバニカ米」が年間400万トン作られており、リゾットやサラダとして食べられているそうです。日本で食べられている「ジャポニカ種」はコメ全体で見ると少数派であり、ガラパゴス化したコメ文化と言えるとのことです。
では、日本で主に食べられている「ジャポニカ種」は何種類存在するのでしょうか。
毎年研究され続け、現在の登録品種の数は約1300種類。そのうち人間の主食とされているものは約440種類だそう。ただ、売れ筋の米が優先して作られるため、登録されている品種の全てが作られているわけではないそうです。
ジャポニカ種の中でも、近年ではコシヒカリかヒトメボレが最も多く生産されているとのこと。一般的に米のおいしさについては「甘み」と「粘り」が重要視されます。この2つは分かりやすい旨味ですが、実は甘みが強すぎると粘りが弱くなるといったように、2つの要素は反比例するそう。
その中で、バランスがいいとされる品種がコシヒカリです。戦後、食糧飢餓を抜けるためにササニシキの生産が増加しました。西のコシヒカリ・東のササニシキと呼ばれ、化学肥料を多く使用していたササニシキは硬いことが特徴でした。現在は化学肥料が減り、畜産が盛んな東北では有機肥料を使うことで粘りが出るようになったため、米としてはおいしくなったとのこと。ただ、かつてのササニシキの味とは変わってしまっているのだそう。
寿司店で「親方の時代と味が変わった」と耳にすることがありますが、寿司のシャリに使われるササニシキは環境と土壌の影響を受けやすいため、時代の変化によって味が変わってくるとのこと。環境によって味が変化するササニシキを作ることを敬遠する人も多くなる一方で、コシヒカリはどんな土壌でも作りやすいため人気となりました。
そんな日本の米に、近年では新品種ラッシュが起きているといいます。