神戸市西区にある、滝川第二高等学校。同校の演劇部は、昨年11月に開催された近畿大会(※1)で、最優秀賞(12校中1校)に輝きました。この結果を受けて、今年の夏には全国大会(※2)に近畿ブロック代表として出場。この大舞台でも、優良賞を受賞しました。
部員一堂、総力戦で挑んだ全国大会の様子と普段の活動について、演劇部の皆さんに話を聞きました。
中高生が共に活動する同校演劇部では、高校生23人、中学生14人の合計37人が所属しています。同部顧問の井口守先生によると、普段から活発な生徒もいれば、教室ではおとなしいけれど演じる役になりきって新たに輝く生徒などさまざまな部員がいるのだとか。
同部部長の吉本百梨さん(2年)も「個性が爆発している人たちしかいないので毎日楽しい!」と話します。また、普段の練習は週3~4回ですが、大会や公演前は練習も増えるため、勉強と部活の両立が大変なこともあるそうです。
◆近畿大会では、最優秀賞を受賞
部員の高野泰一さん(2年)は「前年度は先輩方が神戸地区大会で苦汁をなめたので、自分たちにその芝居を超えていけるのかという緊張感がありました。あの重圧感は人生で初めて味わったものでした。」と振り返ります。
そんなプレッシャーを跳ねのけ、近畿大会では堂々の最優秀賞という結果を収めました。高野さんは、地区大会を突破した時の感動が一番大きかったといいます。
受賞作品『リセマ達(ら)』は、部員と井口先生とで脚本を共作。いったん先生が形を作り、演じる中で部員たちと話し合いながら改良を重ねていったそうです。また役者の演じ方に合わせてセリフを調整するなど、部員たちも積極的に関わりました。
印象的な作品タイトルには、どういった意味があるのか。井口先生によると、語源となった「リセマラ」は、“リセットマラソン”の略で、ゲームアプリなどでリセットを繰り返す行為のこと。広い意味では、ゲームをリセットし、セーブしたポイントに戻って何度もやり直すことをも指すそうです。このキーワードをベースに作られた物語、そのあらすじも教えてもらいました。
(以下、全国大会プレ公演のパンフレットより引用)
「通っている高校の球技大会が何度も繰り返されているという違和感に、主人公の「木下紗月(サツキ)」が気づくところから物語が始まります。クラスではあまり目立つ印象のない、いわゆる「陰キャ」のサツキ。日々が繰り返されていることに周りのクラスメイトは気づいていません。何回もリセマラが起こる中、少しずつ自発的に行動していくサツキでしたが……」
井口先生は、「だれがリセマラをしているのかを予想して楽しんでもらいたい。過去や今があるからこそ、明日があるという根底のテーマを大切に、今を生きる大切さや、失敗や後悔を超えて“明日”に踏み出す勇気を届けたい」と話します。