―――現在はどのようなシーンで使われている?
【森谷さん】 寿司の宅配店はもちろんのこと、町のそば屋やラーメン屋などで使用いただいています。お客さんの「お気に入りの店の料理を家でも味わいたい」という思いは今も昔も変わらないため、出前を続けていきたいという飲食店も一定数存在するのだと思います。
「出前機」の多くがバイクに搭載されていますが、新宿や渋谷などの都心ではむしろ自転車のほうが便利だと、今でも自転車用の出前機を使用している店もあります。ほかに意外な用途として、「傾かない」という特性をいかして工場で精密機械を運ぶ際にも使われています。
―――今後の展望は?
【森谷さん】 現在、出前機を作っているのは弊社のみとなってしまいました。半世紀以上にわたって出前機を作ってきた私たちは、出前機に支えられてきました。そうした感謝の思いもあるので、出前機を使ってくださる人がいる限り作り続けようと考えています。
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さまざまなフードデリバリーの登場とともに数は減っているものの、今も現役で活躍し続けている「出前機」。街ゆくバイクや自転車のなかから、懐かしの出前機を探してみては?
※ラジオ関西『Clip』2023年11月16日放送回より
(取材・文=藤田慶仁)