明治・大正期に兵庫県の但馬と播磨を結んだ日本遺産「銀の馬車道」に訪れてもらおうと、銀鉱石を思わせる白い皮のかぼちゃを「銀馬車かぼちゃ」と命名。1月31日(水)までの期間、沿線の飲食店32店舗で特別メニューが提供される。
このたび、中播磨県民センター・銀の馬車道担当の河端知美さんが、劇作家・演出家 平田オリザさんのラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に出演。銀の馬車道ネットワーク協議会(事務局:中播磨県民センター)による「銀馬車かぼちゃ」ブランド化の経緯とその魅力を語った。
「銀の馬車道(正式名:生野鉱山寮馬車道)」は、1876(明治9)年、フランス人技師の指導のもと建設された日本初の高速産業道路。生野銀山で採掘・精錬された鉱物や人々の生活物資を輸送するため、現在の姫路港から生野鉱山までの約49キロを馬車専用道路として結んだ。
日本の近代化を牽引した産業道路は、生活道路としても便利であったことから戦後は県道・国道へと姿を変え、現在もかつての面影を残しているのは、道の駅「銀の馬車道・神河」周辺のみとなっている。
そんな歴史遺産「銀の馬車道」をより多くの人に知ってもらおうと、銀の馬車道ネットワーク協議会では、地域に点在する遺産や歴史をストーリーとして一体的にPRしてきた。なかでもユニークだったのが、2018(平成30)年から行われている、銀鉱石を思わせる白い皮のかぼちゃを「銀馬車かぼちゃ」と名付けた取り組みだ。JA兵庫西農業協同組合指導のもと、地元農家とタッグを組んでブランド化。沿線の飲食店と協力し、「銀馬車かぼちゃ特別メニュー」を提供するキャンペーンが実施されている。
「伯爵」という品種の「銀馬車かぼちゃ」は追熟させることでメロンのような甘い香りをまとい、ホクホク食感と自然な甘さが好評。例年8月中下旬に収穫したのち、JAの冷蔵庫で2か月ほど追熟させてから出荷していたが、今年は新たな試みとして「銀の馬車道」の発着点である生野銀山の観光坑道でも追熟を行った。
「JAの冷蔵庫が約15度であるのに対して、坑道内は年間を通して約13度と比較的近い環境。これまでに、日本酒やワイン、シュトーレンも貯蔵されています。冷蔵庫に代わる追熟場所で、SDGsにもつながる取り組みとして連携していきたい」(河端さん)