秋が深まり旅の季節となりました。みなさんはホテルに宿泊した際、使用済みのタオルをどこに置いておけばいいのか気になったことはありませんか? また、ルームウェアやシーツはどういう状態にしておくのがベストなのか......『ミシュランガイド兵庫』で2012年から16年(最新)まで5年連続4つ星を獲得するなど、神戸を代表するホテルの一つである神戸ポートピアホテルの客室支配人・丸山さんに聞きました。
ーーチェックアウトの際、使用後のタオルやバスマットはまとめてバスタブに入れておくのがマナーという話を聞いたことがあるのですが......。
【丸山さん】 確かに、インターネット上には「すべてまとめてバスタブの中に」と書かれたものもありますね。
ーー実際のところはどうなのでしょう?
【丸山さん】 我々が(ポートピアホテルの)清掃員スタッフに聞いたところ、「浴室の前に敷いているバスマットの上にまとめて置いておいてもらえると助かる」とのことでした。もしくは「バスタブのふちに掛けておく」のが良いそうです。
浴槽には水滴が残っていることが多いため、その中に入れてしまうと清掃の際、水分を吸収したタオルから水滴が垂れてしまうことがあります。
脱衣所などに専用のかごがある場合は、その中に入れておくと良いそうです。
ーールームウェアに関してはいかがでしょうか。
【丸山さん】 基本的に、(神戸ポートピアホテルでは)回収袋に入れる際は3種類に分けています。一つ目はタオル類、二つ目はアンダーシーツやデュベカバー、三つ目が枕カバーとルームウェアです。(タオル類と衣類は別々に回収するもの)なのでルームウェアについてはベッドルームに置いていただけるとありがたいですね。
ーーそのほかホテルの使用方法に関して、「ここは気を付けてほしい」ということはありますか。
【丸山さん】 ルームウェアで館内を移動する方が時々いらっしゃるのですが、ルームウェアやスリッパは基本的には客室のみでご利用いただきたいです。旅館では浴衣で移動することも多いかと思います。そこはホテルとの違いかと思います。
また、チェックアウト時にベッドカバーやシーツをきれいにたたんでくださる方もいます。しかしじつは、清掃は遺失物のチェックから始まり、いずれにしてもシーツをすべて外すため、そこまできれいにしていただかなくても大丈夫です。
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いかがでしたか。現場の声に耳を傾けてみると、マナーとして知る人の多いルールとは少し違った捉え方がありました。ホテルで使用済みタオルの置き場所に迷っていた人は、ルームウェアとは分けて、バスマットの上か浴槽のふちにまとめておくと、スタッフの負担を減らすことにもなりそうです。
また、ホテルによって細かいルールは異なりますが、一般的にホテルではルームウェアで客室の外に出ることをNGとしているところが多いこともわかりました。
知っているようで意外と知らない、ホテル利用マナー豆知識をご紹介しました。マナーやエチケットを守る意識が大切なのはもちろん、その背景にささやかな気遣いがあることも忘れずいたいものですね。
※清掃方法や回収の分類などは、ホテルによって異なる可能性があります。
(取材・文=坂本有伽)