城内には、この城を築いた森忠政(森蘭丸の弟)の銅像が佇んでいます。それが、首のあたりにちょっとした違和感が……。ガイドの方によると、制作者がこの像を作るにあたって参考にした木像が古いもので、首が少し下がっていたのをそのまま写したためなのだそうです。
城内は高さのある石段が続きます。敵が攻めにくいように作られたもので、確かにこれを駆け抜けるのは相当キツそうだと感じる厳しさです。ただ、石段の端に上りやすい階段も設けられているのでご安心を。
石段の途中には、ハート型の石「愛の奇石」も鎮座しています。石垣は、よく見ると少し弧を描いています。これも攻めにくくするための工夫だそう。どのようにして積み上げたのか本当に不思議です。
残念ながら、天守や櫓(やぐら)などの建物は明治の廃城令で取り壊されましたが、大きな城として栄えた頃の名残がうかがえます。ちなみに、2004年の築城400年記念事業で復元された「備中櫓」は、中に入って見学することができます。万一の時のために逃げ出せる仕組みなども施されていて、見ごたえたっぷりです。
じつは道中、秋にもかかわらず桜の花を見掛けました。時期外れに咲いたものではなく、この時期に花開く「十月桜」という品種だそうです。
上りは厳しい砦のようだった石段。下りは、季節を映す景色や歴史ある風情を堪能しながら降りるゆとりも少し生まれつつ、一段ごとの高さに気をつけながら歩きます。不安な人は、杖を借りることができます。
いよいよ旅も終盤。欠かせないのが土産物店です。入口にある店には地元のお土産がそろいます。津山市と言えば、B'zの稲葉浩志さんの出身地としても知られていますが、お城にはB'zのポスターが掲示されていて、店には稲葉さんのお兄さんの和菓子店のお菓子も並んでいました。
(取材・文=TT)