ようやく迎えた紅葉の季節、遠出して観光を楽しみたい時期となりましたが、遠出に欠かせないのが高速道路です。SA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)に立ち寄りグルメを楽しむのも車での旅の醍醐味ですが、そこで疑問が。「なぜ高速道路のグルメは魅力的に見え、なおかつおいしく感じるか?」ということ。
人が食べ物の味についておいしさを感じる仕組みを、心理学と脳科学の手法で研究する近畿大学産業理工学部の大沼卓也准教授に話を聞きました。
大沼准教授によると「食べ物の『おいしさ』はその中身、内容だけでなく、それを食べる私たち人間がその時にどういう状態であるかとか、どういう状況で食べるのか……そういった要因によっても左右されます」とのこと。
ここで言う“状態”とは、「空腹か満腹か」「緊張しているかリラックスしているか」など。“状況”とは「一人で食べるのか誰かと食べるのか」などを指し、それらが味にも影響を及ぼすことが実際に世界中の様々な研究で示されているようです。その上で「高速道路のSA・PAで食事する場合にも、その『おいしさ』をブーストする要因はいくつかありそうです」と大沼准教授。
◆車の運転の乗車の疲れからおいしく感じる
「疲れているときに食べる料理は、身体にも心にも沁みますよね。特に長距離・長時間の運転や乗車で身体的にも気持ち的にも疲労している中で食べる料理はよりおいしく感じられるはずです」(大沼准教授)
車は運転するだけでなく乗っているだけでも少なからず疲れるもの。「疲労」がSA・PAのおいしさのスパイスになっているとのことです。
◆閉鎖的な状況からの解放感からおいしく感じる
「車を運転しているにせよ乗車しているにせよ、決して広いとは言えない車内で身動きをとれずにいるのは気持ちの面でも負担となります。そんなふうに長時間の運転・乗車が続いた中、SA・PAで車外に出た時は解放感ですごく気持ち良いですよね。この解放感や喜びみたいなものが、高速道路のグルメのおいしさには上乗せされている気がします」(大沼准教授)
身動きが取れなかった状態から、車を降りて自分の足で大地を自由に歩ける。その場で好きなものを選んで食べたり飲んだりもできる。この状況がプラスに働いているとのこと。