最近の“こたつ” 赤く光らないのはなぜ? 「売るための演出でもあった」 有識者が語る最初事情 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

最近の“こたつ” 赤く光らないのはなぜ? 「売るための演出でもあった」 有識者が語る最初事情

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 在宅勤務が増えたこともありコタツの売れ行きが好調だそうです。筆者も最近になってコタツを購入し、早速その暖かさのありがたみを感じているのですが、気づいたことは購入したコタツは電源を入れても「じわじわ赤く光らない」のです。

 調べてみると、あの赤い光は「暖かく見せるため演出である」という情報も。どういうことなのでしょうか。家電の歴史についても詳しい家電ライターの藤山哲人さんに話を聞きました。

こたつの赤い光は演出?

 こたつが暖まる仕組みについて、藤山さんは「現在のこたつは様々な種類があり、主にはオレンジ色の光によって暖まる仕組みとなっています」と言います。その上で、こたつが赤く光る理由については「遠赤外線自体は目には見えません。故に、いかにも暖かく見せるため、または、ついているかどうかを確認するためのパイロットランプの役割のため赤く光らせているのです」と、赤やオレンジの光自体は暖かさとは関係無く、演出で見せているとのこと。

 ただ、「光は演出」としたこたつの登場は技術が進化した後のこと。かつて、こたつの多くは遠赤外線~オレンジ色の光で暖める仕組みを取っており赤外線のみを出す製品が技術的に作れない、もしくは高価だったとのこと。そこから技術が進み、光を発せずとも暖めることができるこたつが登場するのですが、「赤い色の出ないこたつは暖かさを感じない」など理由から、ランプを赤くコーティングし、なおかつ近赤外線を放出するランプを取り付けた結果、売れるようになった、などという経緯もあったそうです。

 ではなぜ、現在のコタツは光らないものが多いのでしょうか。これについては「こたつ自体の人気低迷と技術の進歩が関係している」と藤山さんは言います。

「ライフスタイルの変化、特に床暖房が売れて主流になったことが原因でこたつ自体の人気が低迷しました。現在は光ることにこだわる人も減ったので、その演出も必要ではなくなりました。また、こたつを暖めるのにも『カーボンヒーター』など、従来のこたつユニットとは形の違うものも登場しており、光るこたつはすっかり少数派になったと言えます」(藤山さん)

椅子に座って使用できる高い脚のこたつなどライフスタイルに合わせたこたつも登場

 また、こたつ製品を多く取り扱う株式会社山善(大阪府)によると「昔の赤いヒーターは一般的なガラス(並ガラス)を採用していたため熱に弱く、水滴がかかって割れる等の問題もあり、薄型ヒーターユニット内に収められないことから現在のラインナップからは無くなりました」と、しています。

 そんなこたつが最近になってまた流行り始めている、ということについて、藤山さんは「節約するために部屋全体を暖めず局所的に暖める暖房器具が売れているようです。その暖房器具の一つがこたつです」と、ここ数年の電気代高騰も理由にあると指摘しています。

(取材・文=宮田智也)

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