大屋根には、環境への配慮や鉄骨使用時のコストとの比較などを鑑みて、北東エリアについては、柱(タテ)については、国産のヒノキとフィンランドのアカマツなどをほぼ半数ずつ、梁(はり ヨコ)には福島県産のスギを調達した。
このエリアは、万博会場の“東ゲート”にあたることもあり、どうしても国産中心に、というこだわりを持った。
ヒノキは四国で調達し、東日本大震災の被災地・福島県浪江町へ運んで加工した。現地では一定数の雇用を確保しているという。
水平に通した梁(はり)上部のすき間に楔(くさび)を打ち込み耐震性を高める。鉄骨を用いての建設ならば経験豊富の職人も、木だけで建設する経験は薄いが、スピード感を持って作業を進めているという。
取材に対し、「この工事に携われるのは職人冥利に尽きる。四方を海に囲まれた人工島・夢洲での作業は風が強い日もあり、難易度が上がるが、職人としての心意気を示し、安全第一で取り組みたい」と話した。
北東エリアを管轄する大林組の内林隆文・工事事務所長は「“ものづくり”は最初、想像の世界から徐々に目に見える形になっていく。そこに喜びを感じている。完成したリングをみていただければ、今さまざまな懸念が解消されると思っている。日本が海外に向けてリングでお迎えするという気持ちを、携わるスタッフ全員で共有してやり遂げたい」と話している。
梁(はり)を柱の”切り欠き(長方形の孔)”に差し込む、日本の伝統的な「貫(ぬき)」工法でブロック部分を建設する。北東エリア内だけでも、梁や柱の数は1万ピースを超えるため、いかに効率よく施工するかが課題となる。上部・下部に分けて組み立て、地面に近いところで立体化させる。空中で梁を抜き差しするが、安全性も高く、足場を組むことはない。
このほか、リングスカイウォークの床(計約2万平方メートル分)にはCLT(Cross Laminated Timber クロス・ラミネーテッド・ティンバー / 直交集成)を貼り合わせる。