兵庫県多可町の吉田一四(よしだ・かずし)町長が、22日、ラジオ関西の生番組に出演し、「多可町は、手すき和紙の杉原紙(すぎはらがみ)、酒米・山田錦、国民の祝日・敬老の日の発祥の地。伝統を大切に守りながら新しいトレンドも柔軟に取り入れる、ハイブリッドな町」と、町の魅力を語った。
多可町は兵庫県のほぼ中央に位置しており、山林が面積の8割を占める。一方、神戸・大阪・京都から車なら1時間半程度で着くことから、吉田町長は「ちょうどいい田舎と呼んでいる」と話した。そのアクセスの良さで近年は移住者も増え、新しい店舗や民泊施設などが数多くオープン。必要なものは町内で揃う便利さも人気だという。多可町は3つの発祥を持つ町でもあり、1つ目は手すき和紙の「杉原紙(すぎはらがみ)」、2つ目は酒米の最高峰「山田錦」、3つ目は、国民の祝日「敬老の日」。吉田町長は「先人から受け継いだ尊い文化・産業・精神を大切に守りながら、新しいトレンドを柔軟に取り入れる、ハイブリッドな町」と紹介した。
多可町では、2025(令和7)年春のオープンに向け、図書館や交流スペースなどを兼ね備えた「多可町生涯学習まちづくりプラザ」の整備を行っている。先日この施設の愛称が「あすみる(Asmile)」に決定。吉田町長は「地域社会の中で、皆さんに出番があるように、生涯にわたって知識を深めるための居場所として集える場所を目指している」と話した。また、隣接地には、2026(令和8)年4月、3つの中学校が統合して「多可中学校」が開校する予定で、吉田町長は「体育館の『アスパル』、生涯学習施設の『あすみる(Asmile)』、統合中学校、病院などが集約され、『ここに来ると何かがある』というまち作りを進めている」と語った。
多可町では今年も「杉原紙年賀状全国コンクール」を開催する。杉原紙は、奈良時代の播磨紙の系統を引き、多可町北部で生まれたと推定されている。武家社会では公用紙や贈答品に用いられた手すき和紙で、大正時代に生産は途絶えたが、昔ながらの技法、技術が再現されている。吉田町長は「毎年、全国から素晴らしい年賀状をご応募いただいている。今年も個性豊かな作品が集まるのではないか」と期待を寄せた。
また、年間を通して健康保養地事業「クアオルト健康ウォーキング」を実施しており、町内には19か所のウォーキングコースがある。自然の中を歩くことで、疾病予防や健康寿命の延伸などが期待できるという。吉田町長は「ぜひ、多可町の豊かな森林が放つ香りや静けさを満喫して、心身丸ごとリフレッシュしてほしい」と呼びかけた。