シャンプー1回で泡立たない場合、2度洗いしても良いのでしょうか? この疑問について、杉野さんは「頭皮にトラブルとなる脂肪酸などを残さないことが大事」と回答。汗や皮脂などはかゆみの刺激やにおいの原因物質の原料になるそう。
「皮膚の表面には常に『常在菌』と呼ばれる何種類かの菌が存在し、これらの菌が皮脂や汗から『脂肪酸』などを作り、頭皮を弱酸性のいい状態に保ち、頭皮がアルカリ性に傾いたときに繁殖しやすい病原菌の増殖を防いでくれます。ところが、生成する脂肪酸の中にはかゆみやにおいの原因になるものもあるのです。頭皮を健やかに保つために、シャンプー時は皮脂や脂肪酸や汗を残さないように頭皮をきちんと洗うことが重要です。」(杉野さん)
頭皮は体の中で一番皮脂腺が多い部位。そのぶん皮脂の分泌量も多いとのこと。毛髪に覆われているため、きっちり洗いきることは難しく、約24時間で洗う直前の皮脂量に戻ると言われています。早いと半日でもとに戻る人も。皮脂の分泌量が多い時や油分の多いスタイリング剤を使用している、洗髪間隔があいた場合は2度洗いした方がよい場合もあるとのことです。泡立ちが悪くなるのは、油性の皮脂や脂肪酸がシャンプーの洗浄成分と結びついている証拠であり、その場合は、一度洗い流すことでシャンプーが皮脂類をキャッチしやすくなるそうです。
杉野さんによると、シャンプーは使っているときからすすぎまで滑らかに洗えることや、適度な泡立ちが大事とのこと。滑らかさは頭皮にシャンプーを届ける時に髪が絡まることを防ぎ、すすぐときまで頭皮に触れてスムーズに指を動かすために重要となります。カラーリングなどで髪が傷んでいる場合は、シャンプーが滑らかでないと頭皮に届けられず、十分にすすげない場合があるそうです。また、シャンプーをする際は、髪が濡れて柔らかくなり、表面がこすれると傷みやすいため、なめらかな泡は髪同士のクッションと潤滑の役割も果たします。また、泡立ちにくいシャンプーは洗浄成分が皮脂をキャッチしていても流しきれないことがあるため、すすぎまで適度な泡立ちを保つシャンプーがおすすめだそうです。
(取材・文=迫田ヒロミ)