香川といえば“うどん文化”が盛んな県として有名です。2011年には、県がみずから「うどん県」と名乗る観光キャンペーンをはじめ話題を呼びました。そんな同県の「年明けうどん」をご存知でしょうか?
食文化としては比較的歴史の浅いものといいますが、一体どんな料理なのでしょうか。『年明けうどん普及委員会事務局』(所在地:香川県高松市)に詳しく聞いてみました。
2008年、当時存在していた組織『さぬきうどん振興協議会』によって開発された年明けうどん。その定義は「元旦から1月15日までに食べるうどん」「紅いトッピングなどを添えたうどん」と、いたってシンプルです。「年明けうどんという名称自体は最近できたものですが、香川県では昔から初詣の後にうどん屋でお昼を食べたり、年末にそばではなくうどんを食べる家庭もありました。わざわざ特別にうどんを食べる……というよりは普段と同じようにうどんを食べるという形でしたね」と事務局。
太くて長いうどんは、昔から長寿を祈る縁起物として食べられてきたもの。そこに、おめでたい「紅」を添えることで1年の幸せを願うというコンセプトが込められているのだそう。事務局によると「県内のうどん店では、約120店で年明けうどんを提供しています。いつものうどんに海老天や梅干しなどトッピングして少し豪華にするだけで家庭でも手軽に作れます」とのこと。
代表的なものは、紅い餡餅をトッピングした「さぬきの年明けうどん」。2013年に『本場さぬきうどん協同組合』が開発したメニューで、もともと香川にあった「餡が入った餅雑煮を食べる」という習慣を取り入れました。
公式サイトには豆乳ベースのだしに穴子やもみじおろしをのせた「穴子の豆乳紅白うどん」や、梅の型に切り抜いたニンジンやえび天・宝袋(揚げ)をのせた「宝袋うどん」など実に多彩なレシピが掲載されています。中には、トマトやタコを使ったメニューもあり自由度の高さがうかがえます。
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年明けうどんは徐々にその範囲を広げ、最近では県内のみならず愛媛や徳島、東京にある一部のうどん店でも提供されているそうです。年明けうどん提供店では目印として「紅白」のロゴマークが入ったのぼりやポスターが飾られています。もし見つけたら、初詣帰りに味わってみるといいかも知れませんね。
(取材・文=つちだ四郎)
◆本場さぬきうどん協同組合 年明けうどん普及委員会事務局
760-0018
香川県高松市天神前1-28 メディアステーションビル
電話番号 087-835-8818
年明けうどん 公式サイト