“予期せぬもの”に出会う意味 ランドスケープアーティストが語る 「まなざし」を相対化するアート | ラジトピ ラジオ関西トピックス

“予期せぬもの”に出会う意味 ランドスケープアーティストが語る 「まなざし」を相対化するアート

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 劇作家・演出家 平田オリザさんのラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)では、前週に続き、大阪公立大学の准教授でアーティストのハナムラチカヒロさんがゲスト出演。パンデミック以降の社会について、「まなざし」をキーワードに分析した。

ランドスケープアーティスト・ハナムラチカヒロさん(写真中央)、番組パーソナリティーの平田オリザ(同右)、田名部真理(同左)

 コミュニケーションデザイナー、アーティスト、俳優、博士と、さまざまな肩書を持つハナムラさん。現在は、大阪公立大学大学院現代システム科学研究科において、「持続可能な社会をつくるにはどうすればいいか」をテーマに指導にあたっている。

 自身の受け持つ「環境デザイン通史」では毎回150枚にも及ぶスライドを用いて、デザインの観点から「人類はどこからきてどこへ行くのか」を紐解いており、文系・理系を問わず多くの学生が学びを深めているという。ここでもカギとなるのは、多くの場合メディアを通じてしか世界をみることができないという「まなざし」の固定化だ。

 ハナムラさんの近著『まなざしの革命』(河出書房新社)は、新型コロナウイルスのパンデミックから1か月後に草案、ロシアによるウクライナ侵攻の1か月前に出版。同著では、情報に右往左往する人々の状況を「まなざしが外からデザインされた状態」ととらえ、解説している。

 ハナムラさんがテーマとする「まなざし」には2つあり、1つは「自分のものの見方を変えると世界が変わる」という視点。もう1つは、「自分のものの見方というのは、実は外から操作されている」というものだ。

「いまの世の中は危険で、どの情報が正しくて、どれが間違っているのか。どこが事実で、どこが主張なのか。その両方が紛れてやってくる。僕たちはいま、『正しく見る』ことが難しい時代にいる。そのなかで、物事を相対化して価値を反転させ、いろいろな見方があることに気づかせてくれる役割がアートにあると思うんです」(ハナムラさん)

 ハナムラさんの主張を受け、平田さんは自身の経験談も踏まえてこのようにコメントを残した。

「高校生との対話型ワークショップのなかで、彼らはよく『普通は』と言うんですよね。“普通”はあくまでも主観であって、“普通”なんかない(笑)。自分のなかの当たり前を疑ってみるというのは大事だと思います」(平田さん)

 さらに、ハナムラさんと平田さんは現代社会についても言及した。

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